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2009年6月18日 大阪センチュリー交響楽団
第142回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
ショスタコーヴィチ/交響曲第11番 ト短調「1905年」Op.103


演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:アンナ・マリコヴァ
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
指揮:沼尻竜典

感想・短評

久しぶりのセンチュリー定期。このところ年に1回聴くかどうかになってますので。。。会場に足を運んで驚いたのは、大フィルよりも客の入りが良いこと。財政的に苦しいのに頑張ってるなぁ。1000円の席で聴くのは本当に申し訳ないと思ってしまいました。

さて、今回の定期はお気に入りの沼尻さんなので、大いなる期待を持って聴きに来ました。最初のグリーグは実に爽やかで嫌味のない演奏だった。沼尻さんはサラリと流して進めるところが良かった。あんまりコッテリされてもねぇ。ピアノはさすがに実力派。水のように流れるのが心地よい。1音1音がしっかり立っているのに滑らかな指裁き。第2楽章はオケも含めて美しさが光ってました。第3楽章はビクッとするようなメリハリがあって、ただ平坦な印象では終わらないところがgood!あまり楽しみにしてなかった曲でしたが、十分な聴き応えでした。

アンコールはさらに絶品だった。スゴイテクニックがいるのに、あっさりと可愛らしく弾いてしまうところがスゴさを物語っている。
  チャイコフスキー(プレトニョフ編曲)/バレエ音楽「眠りの森の美女」より“銀の精”

後半は言葉を失うほどの豪演でした。沼尻さんの燃え盛る本気のショスタコーヴィチは生々しすぎて鳥肌が抑えられないほどだった。第2楽章の「1月9日」はほとばしる血潮が映像として目に浮かぶ激しさで、怖くなったくらい。。。第3楽章「永遠の追憶」のヴィオラの沈んだ旋律はなかなか良かったが、もうちょい鳴らして欲しかったかな? 第4楽章ともなると、沼尻さんも金管も苦しそうだったが、最後の最後までものすごい集中力だった。多少のミスなんかはどうでもいいんです。音楽性は素晴らしく高かった。ただ、最後の鐘の連打の後、フライング拍手が起きてしまったのは残念ですね。曲を全く知らない輩ですね。恥ずかしい限りです。そんなこととは別に会場は大喝采でした。ちなみに、最後の鐘は本来1人のところを沼尻さんの希望により急遽2人に増員したそうです(パイプオルガンを挟んで左右に配置されてました)。前日になってお呼びがかかったのは、先日の京響定期で大活躍を見せた石倉さん。いきなりの本番でも素晴らしい働きをします。

今までセンチュリーは何度となく聴いているが、ここまで大充実の演奏を聴いたことがなかった。京響と同様にセンチュリーも黄金期を迎えつつあるようだ。こんな素晴らしいオケの補助金を削るなんて、大阪府の対応や日本の西洋音楽に対する意識の低さには憤りを隠せない。しかし、沼尻さんは本物だ。昨年の京響での名演が偶然の産物ではないことが今日証明された。現代におけるショスタコーヴィチの第一人者と言えるのではないだろうか?

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