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2009年10月30日 京都市交響楽団 第529回定期演奏会
(京都コンサートホール 大ホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト/交響曲第36番ハ長調「リンツ」K.425
ブルックナー/交響曲第9番二短調


演奏者(指揮者・ソリスト)

管弦楽:京都市交響楽団
指揮:井上道義

感想・短評

平日と言うのにかなりの集客だったのでビックリ。曲目がブルックナー(それも9番)だったので意外だった。まぁ入ってくれることはうれしいことなんですが。冒頭でミッキーによるプレトークが行われたが、曲の解説はちょっとしかせず、先日亡くなられた京響の元コンマス・工藤千博さんの話がメインでした。また、京響にもっと活躍の場を提供して欲しいと熱弁をふるってました。もっと仕事させて、ついてこれないヤツは首にしても良い・・・など過激な発言もありましたが、京響の発展を思ってのミッキーの発言だったと思います。

さて、最初のモーツァルトは小編成なのもあり、舞台の中央に奏者を集める配置だった。当然、木管や金管が並ぶ場所には何も置かれてないこともあり、その部分の舞台がかなり競り上げてセッティングされていた。おそらく、室内楽的な響きを期待してのことと思うが、P席側から見ると、まさにオケが桶に入っている感じになってしまい、響きに乏しい印象を受けた。若々しいモーツァルトでもなく、風格のあるモーツァルトでもない。無難と言えば無難だが、少しボヤけたモーツァルトに聴こえてならなかった。こういうのもホールの特性が関係するんだろうな。昨日の大フィルのハイドンの高雅さとはかなり異なる印象だったので。

後半は他の真髄を寄せ付けない名演奏だったと思います。初めてミッキーがちゃんとした指揮者に見えました(笑)。全く奇をてらわないとかいう次元ではなく、ゆったりとしたテンポで壮大に描く「巨匠的」なブルックナー演奏でした。いつもやりたい放題のミッキーはどこへやら。オケの出来は言うまでもなく、最後まで新鮮さを失わない伸びやかな金管楽器、しっかりと型を作る弦楽器、それらを有機的につなぐ木管楽器。全てのセクションが完璧に近い仕事をしていた(第2楽章の冒頭はちょっと不協和な響きでしたが)。ここまでの完成されたアンサンブルは日本でも有数だと思う。特にブルックナーなどの壮大な曲になればなるほど、京響としての完成度の高さをまざまざと感じることができる。今日のオーケストラ配置は面白くて、木管の後にコントラバスを配置し、オーケストラを取り囲むように金管が1列に並んでいた(ホルンは2列でしたが)。非常にパノラミックな音響に感じたのもこのせいでしょうか?

どこの何が・・・というのではなく、1時間を通して最後まで雄弁に語り続けたミッキーのブルックナー。久々に放心状態になりました。ホールを出ても頭の中で響き続けていました。教会音楽のような崇高なブルックナーではないが、純音楽としてとても深みのあるミッキーのブルックナー。新しい側面を耳にしたことで、じわじわと感動に襲われました。

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