今回も大物ソリストの登場と言うこともあり非常に楽しみなプログラムである。ただ、メインとなる曲のインパクトがないので、もの足らないプログラムでもあるのだが・・・
最初に言っておくと、今日の大フィルは稀にみる絶好調であった。弦楽器・管楽器ともにバランスが良かった。まず、コダーイだが、のっけから低弦の分厚いフレーズがホールにこだまする。どのパートもめずらしい具合に息が合っており、大編成ながらも室内学的なまとまりを呈していた。大フィルはこういう民族的な曲は得意なのであろうか?(先日のバルトークはひどかったが)民謡色の濃いフレーズの部分などは生き生きと演奏していた。もう少し土臭さ?みたいなものが欲しかったが、立派な演奏であったと思う。後半で金管がちょっと下品に吠えていたのは気に入らなかったが。
今日のメイン?のモーツァルト。ソロとして華々しい活躍をしている「クラリネットの天才」メイエ。クラ好きの私としてはかなり注目の演奏になった。曲が始まるやいなやものすごいスピードで駆けだしていく。ちょうどテンポの速い「フィガロの結婚」といった感じが当てはまる。演奏自体は意外とあっさりなのだが、今日の大フィルは冴えていたのでとても心地の良い早さだった。そこでメイエのクラリネットが合流する。やっぱりテンポが速い! もはやこれはモーツァルトといえるのか? シャープで都会的なモーツァルトが目の前に広がる。「ニューヨークのモーツァルト」というイメージだ。安らぎのコンチェルトだがここまで速いと超絶技巧の連発になる。まともなモーツァルトは第2楽章だけだった。しかし、消え入るような弱音からホールに響き渡る強音までを自在に操ったメイエにはただただ脱帽。
アンコールとして次の曲が演奏された。「シュテファン・ソンデイム Send in the Crowns」
知らない曲だったが、モーツァルトとは一転して息をのむほどの静寂の中、優しいクラの音が張りつめた空気中を漂った。
最後の曲はマーラー。10番を演奏会で聴くのは随分久しぶり。いつもの大フィルだと恐ろしいことになりそうであるが、今日の大フィルはいつもとは違った。冒頭のヴィオラのふくよかさ、さらにはヴァイオリンの清涼感。この曲の重要な箇所はきちんと押さえていた。木管が目立ちすぎる嫌いもあったが、金管陣もほとんどミスなくノープロブレム。後半部の総奏ではグッとテンポを落とし、アクセントをつけていたが、問題なくトランペットの引継が行われており、とても安心して聴くことができた。この調子で9月の6番にも挑んで欲しいものである。
今日の大フィルの出来もさることながら、なかなか充実した演奏を聴かせてくれたレナルト氏もただ者ではない。また振って欲しいものである。
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