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大好きなヤンソンスの指揮によるバイエルン放送交響楽団という超ビッグな演奏会にもかかわらず、今日は行くのをやめようかと思っていた。このところ演奏会に行きすぎだから・・・。しかし、行くのをやめなくて正解でした。あやうく大名演を聴き逃すところでした。一昨日のびわ湖ホールでのリヨン歌劇場管弦楽団とは違い、ほぼ満席に埋まってました。オケの知名度の差か、立地の差か、PRの差か・・・。そんな複雑な思いの中、大きな期待の中演奏会が始まった。
うまい。そんなありふれた表現しかできない自分が情けないが、とにかくウマイ。豊かさをたっぷり湛えたベートーヴェンはまさにドイツ音楽の代表だと再認識させられた。ヤンソンスはデュナーミクを最大限表現しながらもわざとらしい(不自然な)ところは1つもない。ひたすら雄大な音楽がホールを占拠する。今さら言うまでもなく、五嶋さんのヴァイオリンは完璧な表現力をもって聴衆を魅了する。オーケストラ相手のコンチェルトだというのに、極限までに研ぎ澄まされた繊細さで静かに歌い続ける姿はまさに五嶋流。歌曲かと思うくらい流暢なのが心地よいとともに、とても説得力がある演奏でした。
さらに驚きは、五嶋さんのヴァイオリンがささやいても、オーケストラは引けをとらずにささやけるところだ。こういうところは一流オケでないと出来ない技だ。また、管楽器の素晴らしさも見逃せない。特にクラリネットとファゴットにはあまりのうまさには参った。個人的にジャストミートの究極の理想的な音色だった。ホルンとトランペットの絶妙なピアニシモも素晴らしい。大局的に聴いても、個別の楽器に耳をやってもうまさばかりが耳につく。
アンコールは、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番より第1楽章だった。会場が固唾を呑んで聴き入る中、悟りの境地で朗読するかのごとく奏でられていました。
後半はワーグナー特集。「タンホイザー」序曲は結構速いテンポ。最初のホルンを控えめにして、クラリネットが前面で活躍していた。速いながらも重厚な曲作りなので、ワーグナーもドイツ音楽だったんだと再認識させられた。終始金管を咆哮させることなく、美しく奏でられていく「タンホイザー」。こんなに安心して聴けるなんて、これまでのベスト演奏かも。満足度がかなり高い演奏でした。
もっと驚くことに、続く「神々の黄昏」は2曲ともに想像の域を遥かに越えた大名演となった。なんも言えねー・・・。今まさに長大なオペラが幕を開けるかのような壮大なスペクタクルを痛烈に感じた。音の洪水にただただ飲まれるだけでした。
呆然としながらも、次の「ローエングリン」に頭を切り替えたところで思わぬことが起こった。始まった曲は「ワルキューレ」だったからだ。しばらく状況がつかめなくて、集中して聴くことができなかった。終演後、ロビーの掲示板を見たら、ヤンソンスの希望により「ローエングリン」第1幕への前奏曲はカットされたとのこと。初めに見ていればよかった・・・。期待していた曲だっただけに一層残念だ。「ワルキューレ」は金管を全面に出して実に力強く鳴ってましたよ。
肩透かしにあった感じだが、サービス精神旺盛なヤンソンスなので、アンコールが2曲もあって満足できました。グリーグの「ソルヴェイグの歌」、ワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲。グリーグの手馴れっぷりはさすがヤンソンスならでは。バイエルン放送交響楽団の実力をもってして成し得た究極の美しさでした。
いつもなら楽屋口へと行くところだが、あまりの気分の良さに口ずさみながら帰途についたのでありました。今年のベスト演奏会に決定だな・・・
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