名物「びわ湖ホールプロデュースオペラ」も、ついにワーグナーの領域にも入ってきた。日本ではなかなかワーグナーをシリーズで上演される機会がないので、昨年の「トリスタンとイゾルデ」に引き続いて、日本のワーグナーファンとしては見逃せなくなってくるんではないでしょうか?その割には毎回2公演という限定されたものなので、日本発信のオペラ上演としてもっとロングラン上演をやってもらいたいものだ(せめて5回くらい)。
今回の目玉は、ミヒャエル・ハンペの演出だろう。オペラ演出の世界では大御所で、カラヤンとともにザルツブルグ音楽祭で慣らした強者なのだ。当然、過激な現代演出というわけではなく正統的な演出になってくるが、ワーグナーをそれほど見飽きているわけではないので、その方がこちらとしても助かる。舞台は質素な岩場のセット。映像演出によってヴェーヌスブルクとヴァルトブルクを描き分けるというもの。まぁ、急な場面変更はできないのでこれは演出上も好都合だと思う。それ以外のセットとしては、ヴァルトブルク城のシーンとなるが、昨年の「アイーダ」や3年前の「トゥーランドット」などと比較して豪華さには欠ける。まぁ、これも比較すればのことで、ストーリー上はこんな感じで違和感はない。
演奏はこのシリーズには欠かせない京響。ワーグナーの壮大な音楽を奏でるにはこれ以上の適役はない。とはいえ、全体的にはちょっとメリハリがないというか、スケール感のデカさにも物足らなかった。沼尻さんの指揮は早めなのであっさり感も否めなかったのかもしれないが、こってりした演奏を聴きたいところだった。ないものねだりですね。歌手陣もいつものように日本でもトップクラスの面々。タンホイザーとヴェーヌスが際立っていたが、主役だしねぇ。エリーザベトも良かったです。
ワーグナーのオペラはなかなか上演機会がないと冒頭で書いたが、よく数えると、これまでにもう4回も見てるんですよね。この調子で指輪も全話制覇したいものである。
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