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2013年11月15日 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(フェスティバルホール)

演奏曲目および評価

シューマン/交響曲第1番「春」
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン:樫本大進
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル

感想・短評

いつもベルリン・フィルに行くときは緊張します。チケットが高額だというのもありますが、そもそも客層がいつもと違うのが原因だろうか?今回で6度目となるベルリン・フィル鑑賞。自身のこれまでの最高額は30,000円だったが、それを大きく上回る40,000円というのが今回のS席だ。よくもまぁ、こんな高いチケット買ったもんだ。自分でもちょっと後悔していたりする。それでも、ラトルの元で聴けるのが最後かもしれないし、音響的に改善したフェスティバルホールで、春の祭典が聴けるとあれば期待をしてしまうのは言うまでもない。複雑な思いと期待をもって演奏会に臨んだ。

案の定、会場内はおカネには困ってないような客がひしめいていた。初めてベルリン・フィルを聴いた学生時代とは異なり、それなりに収入のある身分になっているとは言えど、心地悪さは悪いままだ。

40,000円を投資した座席は2階の2列目、ちょっと右寄り。場所的にはオーケストラのプロフィール写真でも撮りたくなるくらいの眺めの良いアングルの席だ。1曲目のシューマンはすこぶるドイツらしい響きでうまさに舌を巻く。スーパーオーケストラの真骨頂ともいえる究極の再弱音にもため息が漏れる。と同時に、案外響かないホールにも懸念を示す。シューマンと続くプロコフィエフはそんなに大編成ではないのでオーケストラの規模も小ぢんまりとしているためか?ベルリン・フィルのパワーはこんなもんじゃなかったはずだ。

プロコフィエフは、コンマスに就任してから初めての来日になる樫本さんの凱旋公演だ。ちょっと線の細さを感じたものの、ソリストとして十分な技量を持っているために素晴らしい。ただ、オーケストラはソリストを意識したような控えめな演奏。ベルリン・フィルはソリストとも遠慮せず戦っていたんじゃなかろうか?

完璧な演奏なのに何か腑に落ちないままで、後半の大編成による「春の祭典」に突入する。そして分かったこと。「ホールの問題じゃん」。音響が良くなったと思っていたフェスティバルホール。それ自体にウソはないのだが、問題はホールの大きさだった。これまでベルリン・フィルはほとんどザ・シンフォニーホールで聴いていた。ホールの規模が2倍近く違うため当然オーケストラとの距離や、響かせる空間の容量も格段に大きくなっている。その違和感が過去との記憶の差を生んでいたのではないだろうか。過剰な期待による弊害はよく起きるのだが、今回は何となくもったいない感じだ。

とはいえ、春の祭典も演奏自体は相当に素晴らしいものだった。冒頭のファゴットからして何という奇抜なことか!違う曲が始まるのかと思った。今年が初演100周年のこの曲が、初演時に混乱に陥った状況が目に浮かぶような演出?だった。全体的にスローテンポで安全運転のようにも感じたものの、完璧な演奏技術で危うさなど微塵もない。そういう演奏が聴けただけでも価値は十分にあった。

今回は大規模な曲ではなく小ぶりなプログラムでもあったので、このホールの大きさは余計に効いてきたのだろう。元をただせば演奏の問題でもホールの問題でもない。単に過去の迫力の再現ができなかっただけ。勝手に想像を働かせて聴くのはいけませんね。単純に楽しめばよかった。良い演奏が、良い記憶とならなかったのが残念でした。

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