さて、今回の演奏会は今までとは少し異なる聴き方をする。明日(4/18)同じ曲(ヴェーベルン)を聴くため「聴き比べ」をしないといけないからだ。その意味では他の曲はちょっとおまけ(?!)となってしまうが・・・
そのヴェーベルン。センチュリーはこの手の現代曲が非常に得意である。高関氏の指揮が明確で、非常に安定しているためかもしれないが、メジャー曲に比べて完成度はいつも高い。ただ、表面的な演奏という感じも拭いきれないので、もっと深くまで掘り下げて欲しい。とはいえ、鉄板の強烈な打撃など、メリハリがあり、楽しく聴くことができた。2曲目ではトランペットがミュートをつけてさらに黒い幕をかぶせて吹いていたのが印象的だった。明日のグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラはどのような演奏を聴かせてくれるのか楽しみだ。
しかし、期待していなかったシューマンが今日の最高の演奏であった。趙さんのチェロが素晴らしくうまいのである。これまでいろいろなチェリストを聴いてきているが、これほどまでに衝撃を受けた演奏はなかった。技術・音、艶、ボリューム全てにおいて卓越している。まだまだ若さも感じられるが、必ず大物に成長する逸材であることは間違いないだろう。カラヤン・アカデミーに在籍している理由がよく分かる。これまで、シューマンのチェロ協奏曲は「たいくつ」という印象だった。今日の演奏を聴いて「良い曲」へと変貌した。センチュリーのサポートも絶妙で、小さすぎず大きすぎず、ソリストと仲良く絡み合っていたのが成功の一因でもあったと思う。
最後はバルトークのオケコン。コンサートで聴くのは何度目だろうか・・・というほどよく耳にしている。センチュリーの管楽器は少し弱いところがあるので心配していた。残念なことに、その予想は見事に的中してしまった。オケの弱さは置いておいたとして、高関氏の機械のような堅実なタクトがこの曲の持つ魅力やオケの機動力をなくしてしまっていたのではないだろうか? 抑制されてしまったオケから奏でられる音楽は、バランスのぎこちないものとなる。顕著に表されていたのは第5楽章だろうか。金管のダメさも手伝って、今まで聴いた中では大フィルのアンバランスなオケコンに並ぶ出来に感じた。気持ち良く曲に乗りたかったのだが、残念であった。
2003年コンサートカレンダーにもどる
|