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2003年6月20日 大阪センチュリー交響楽団
美しい世紀のために(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ハチャトゥリアン  バレエ組曲「ガイーヌ」より
  剣の舞、バラの乙女の踊り、レズギンカ
ショスタコーヴィチ  ヴァイオリン協奏曲第1番
ショスタコーヴィチ  交響曲第5番「革命」




演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: カテリーナ・マヌーキアン
指揮: 西本 智美

感想・短評

大人気の西本さん指揮のコンサート。なぜか西本さんが振るときはチケットが良く売り切れる。人気の秘密は何なのだろうか? ただ女性の指揮者が珍しいからなのだろうか・・・今日は会場全体では満席ではなかったが、1階席はほぼ満席状態であった。

さて、「美しい世紀のために」と銘打っているが、プログラムとしては派手な曲やら重い曲が並ぶ。オープニングはハチャトゥリアン。実に丁寧で、急がない「剣の舞」で始まり。センチュリーは小品がとても上手いので、難なくこなしていた。面白かったのは第3曲でスネアが縁を使ってリズムを刻むところ。乗りが良くって楽しかった。

印象に残ったのはヴァイオリン協奏曲である。ソリストのマヌーキアンが素晴らしい。まだ20歳そこそこの女性だが、テクニックは確か。多くのヴァイオリニストの中でも上位にランクするのではないだろうか?そのために、難曲でソロの部分が多いショスタコーヴィチだが、息つく暇もないくらいの熱演になった。特に圧巻は、長いソロがある第3楽章と超絶技巧の第4楽章。ほぼ完ぺきと言って良かった。ただ残念な点を挙げるとすれば、ボリュームに乏しく、音に芯が通っていないように感じたことだ。このあたりは今後成長に期待するといったところか。そのひ弱さを和らげてくれていたのが、西本さんとセンチュリーの組み合わせ。センチュリーは合わせ物が得意なので、ヴァイオリンと違和感なく溶け合っていたし、西本さんのあっさりした指揮も溶け合わせるには良かった。曲が終わるとともに会場からは唸りにも似たどよめきが起きた。それほど聴き応えがあった。

この調子で革命も!と思ったが、そこまで思い通りには行かなかった。非常にスローテンポで開始するあたりは、先に用意されているドラマを一層引き立ててくれるものと思ったが、全曲を通して非常に起伏の少ないあっさりとしたものとなってしまった。少なくとも「ショスタコーヴィチ」には思えなかった。先のヴァイオリン協奏曲もそうだったが、どこか北欧の雰囲気を感じるような演奏なのだ。ソヴィエトの色などどこにもない、とてもクリアなショスタコーヴィチなのだ。第3楽章は革命の夜明けを醸し出してもらいたいところなのだが、スターリンは何処へやらといった感じ。まぁこの楽章はこれでいいのだろう・・・ 第4楽章では金管陣がいつも通りバテてきており、緊張感が保てなかったのは残念。

全曲を通しての西本さんの指揮はスマートで柔軟性があると思う。ただ、やはりショスタコーヴィチのような男性的な曲には合わないと思った。違った雰囲気が出て面白い面もある(^^; バロックや古典などの純音楽であると個性を発揮できるように思う。

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