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2005年10月22日 兵庫芸術文化センター管弦楽団
兵庫県立芸術文化センター オープニングコンサート(兵庫県立芸術文化センター)

演奏曲目および評価

J.S.バッハ  G線上のアリア
ベートーヴェン  交響曲第9番「合唱付き」


演奏者(指揮者・ソリスト)

ソプラノ: アリア・コスタンツァ・ノチェンティーニ
メゾ・ソプラノ: 手嶋 眞佐子
テノール: ポール・ライオン
バリトン: キュウ=ウォン・ハン
合唱: 神戸市混声合唱団、オープニング記念第9合唱団
指揮: 佐渡 裕

感想・短評
ホール2階入り口
ホール2階入り口
ホール客席
ホール客席
ホール舞台
ホール舞台
佐渡 裕
佐渡 裕

記念すべき新ホールのオープニングコンサート。関西はこのところ来日オケから避けられるなど状況は良くないのだが、200億円もかけた立派な施設が西宮に誕生した。阪急西宮北口駅を降りると、駅からホールまでは直結しているため立地はバツグン。エントランスも広々としており、明るく清潔な感じが好印象のホール。今日はオープニングと言うこともあり、高松宮殿下を始め、各界の有名人が足を運んでいた。私が見たのはNHKの杉浦圭子アナ。今日の指揮者の佐渡さんとは8月に平和巡礼コンサートで一緒だった縁だろうか? しかし、テレビで見る以上に美人だったのでビックリした。

ホール内は全面木材が使われていて、派手さはなく、落ち着きのある空間になっていた。座席は4階席の後方だったが、視界は多少見えにくいもののノープロブレム。奥行きよりも幅が広いホールなので舞台はかなり近くに感じた。箱は良好だ。さて、今日の演奏会はホールの柿落としと言うだけでなく、ホール専属の新オーケストラのお披露目会でもある。佐渡さんを音楽監督に、世界中でオーディションを行い集めた35歳以下の若いメンバーの集いである。講師陣として、ヴァイオリンの豊嶋さんや四方さんを始め、世界主要オケなどの大物も抱えており、かなり気合の入ったオーケストラである。若くて新しいというだけでなく、実力も相当高そうだ。

最初は阪神淡路大震災の犠牲者に捧げるとして特別に「G線上のアリア」が演奏された。この演奏でオケのレベルの高さが分かっただけでなく、ホールのレベルの高さも思い知ることになった。演奏自体はそれほど特徴のあるものではなかったが、弦楽器が素晴らしくうまい。ヴァイオリンは艶やかで鮮度が高く、低弦もしっかりと耳にすることができた。「4階席だと言うのにここまで聞こえるか?!」と思うほどしっかりと音が飛んでくる。ホール全体で使われている木が良いのだろうか? 非常に暖かく包み込む響きだ。残響も適度に長く、圧迫感は全くない。出来立てなのにここまで音響が良いのはうれしい限りだ。

メインは第九。いうまでもなく佐渡さんの得意曲だ。結構奇抜な演奏になることを予測していたが、正統的な演奏に徹していた。しかし、普通ではない「熱さ」が曲を支配していた。特にティンパには強烈で、この演奏の勢いをあらわしているようだった。ちょっと固めの音が好き嫌いの分かれるところだろうが、私は「好き」な方である。弦楽器は前述のように「素晴らしい」の一言。木管が少し先走り気味だったのがまだまだ若いオケというところか。ホルンが何度かヤバいところがあったものの、金管にも大きな不安要素は見当たらない。ホールとしては弦楽器と木管に相性が良いようである。同じ木材だからだろうか? 各パートをしっかり聞くことができるほどの解像度の高さも特徴。ただ、第4楽章は歌手がイマイチだったかな?(これはホールとは関係ない) 特にソプラノとテノールは音程が上ずっていたのが気になった。四重唱はバラバラに聞こえたし。。。でも合唱はかなり歌いこんでいたのか、結構上手なので良かった。オケの方はフィナーレに近づくにつれ、どんどんヴォルテージがアップ。佐渡さんも渾身の指揮でオケと合唱を引っ張る。そしてオケが半分崩壊しながらも熱狂的に終曲。会場からは割れるような歓声とともに一斉に「ブラボー」の声が飛ぶ。オープニングだと言うのにこの盛り上がりは何なのか? まさに会場全体が一体になった瞬間だ。初公演でこれだけの成功を収めるのだから、今後の演奏会がものすごく楽しみ。関西のほかのオケもウカウカしてられないだろう。

アンコール?では「Happy Birthday」が演奏された。「誰の誕生日だろう?」とボケてしまったが、そう「兵庫芸術文化センター」の誕生日を祝ってだ。中間部ではジャズも取り入れ、佐渡さんらしいニクイ演出もあった。

何にしても最高のスタートを切った「芸文」。関西のクラシック音楽の構図が今後変わって行きそうな感じがした。

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