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2008年4月12日 兵庫芸術文化センター管弦楽団
第16回定期演奏会(兵庫県立芸術文化センター)

演奏曲目および評価

フォーレ/レクイエム
フランセ/木管楽器のための四重協奏曲*
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第2番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ソプラノ:西尾知里(京都市少年合唱団)
バリトン:キュウ・ウォン・ハン
合唱:神戸市混声合唱団
フルート:ザビエル・ラック*
オーボエ:藤井貴宏*
クラリネット:ロバート・ボルショス*
ファゴット:マシュー・テイラー*
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
指揮:佐渡裕

感想・短評

定期会員でありながら行けない回が続いたため、実に半年ぶりという久々のPAC定期。今日のプログラムは好きなフランス物が並んでいるだけに期待も大きい。

早速1曲目の感想を・・・。フォーレのレクイエムをここまで安らかに聞けた演奏は初めて(そんなに聴いてないけど)。まず冒頭の「入祭唱とキリエ」から秀逸だった。神戸市混成合唱団のハイレベルな合唱の功績は大きい。50人という最適な数もあり、非常にオケとよく溶けあっていた。「サンクトゥス」での繊細で清々しいソプラノ陣もまさに天上の歌声だった。佐渡さんはフランス物を得意にしているだけあって、要所を押さえた安心感のある演奏だったのがうれしい。注目はやはり「ピエ・イエズス」での13歳のソプラノでしょう。子どもなので声量こそ細々しいが、少しかすれ気味の無垢な歌声は天使的な存在だった。バリトンのキュウさんはいつもながらに安心して聴ける申し分ない歌唱力だ。劇性もなく壮大さもない曲だが、素朴で、祈る気持ちに満ち満ちていて優しい気分になることができた秀演だった。

後半の1曲目は、編成の珍しいフランセの四重協奏曲。4人の木管奏者の活発なパフォーマンスが楽しめたが、舞台から距離のある席なのでボリューム的には多少不満あった。いかにもフランスのエスプリを感じる曲で、プーランク好きの自分には的に当たったかな? 第4楽章でのファゴット→クラリネット→オーボエ→フルートという木管奏者のリレーは流れが美しくて気に入った。初めての曲と感じさせない楽しい曲だった。

さぁ、最後は「ダフニスとクロエ」。今日の演奏は全曲版ではなく第2組曲だが、これも珍しく合唱がつくという嬉しい編成。それだけでも満足なのに、「超」が付くほどの完璧な演奏だった。佐渡さんは開演に先立って曲の解説をしてくれたのだが、色彩感や官能的(佐渡さんはスケベと表現していたが・・・)な表現など、その通りの捉え方ができた。佐渡さんのこの曲に対する解釈がきっちりとオケに伝わっていたことが伺える。急がず、大袈裟にもならず、勢いにもまかせない。非常に理想的な演奏だったと思う。第1曲の淡い音の重なり方、第2曲の幻想的なフルートソロ、第3曲の超絶的なクラリネットなど、どれも完璧で文句をつけるどころか全身がシビレました。昨日のフェスティバルホールの音響が最悪だったのもあり、兵庫県立芸術文化センターの響きも実に満足できた。

熱狂的な拍手に応えて、定期では珍しくアンコールがあった(プログラムが短かったこともあるが)。

 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」より、ハンガリー行進曲

アンコールも含めて、佐渡さんお得意のオール・フランスプログラムは期待以上の満足感で、昨日堪能できなかったモヤモヤを一気に吹き飛ばしてくれた。いやー、今日は期待通りな演奏会でした。

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