すげー。“新春・洋輔まつり”だ。「エクスプローラー」は奇抜な曲想の割りに、シンフォニックな響きで、とてもコンチェルトには思えないものだった。ストラヴィンスキー、ホルスト、ガーシュウィン、ブルックナー、ベートーヴェンなど、あらゆる要素をモチーフとしたような曲だった。第1楽章の終結部の大爆発(最終楽章でも再現)はもはや原始的な様相。第2楽章は映画音楽のような雰囲気満点な印象。第3楽章の各楽器(生物)との対決もスリリングで、ビッグバンに向けて突き進んでいく。山下さんでないと演奏できない一期一会の演奏会が聴けただけでも感謝だ。山下洋輔ワールド炸裂だが、アンコールはさらに大熱狂だったのが信じられない。
山下洋輔/サドン・フィクションより“第5曲 スウィング”“枯葉”−“スウィングしなけりゃ意味がない”(メドレー)
さて、前半で満足してしまったので、ショスタコーヴィチはどうでも良かった。またか!というほど5番ばっかりするのでいい加減飽きている。それにもかかわらず、今日の演奏はストレスを吹き飛ばすほどの痛快なものだった。若さゆえか、ハツラツとして小気味よい。第1楽章、第2楽章の安定感は想像だにしていなかった。新生PACはまだまだまとまりがないと思っていただけに驚きの出来だった。驚きは第4楽章。始めからトップスピードで力強く強烈に猛進する。ここまで勢いのある革命を他に聴いたことがない。何より目を見張ったのは、今日のティンパニスト。女性と言うだけでも珍しいのに何という力強さだ・・・。
大曲2曲で力は抜けきってしまったが、PACとしては最上の演奏会に出会えてとても満足な公演でした。
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