今年最初の演奏会は、景気よくレスピーギのローマ三部作から始まった。といっても、PACの1月定期は阪神淡路大震災の追悼演奏会を兼ねているので、過去のプログラムもレクイエム一色となっている。来年はマーラーの「復活」ということなので、今年のプログラムの異色さが際立っている。これはなぜか?理由はいろいろあると思うが、開演前に佐渡さんが話されていた内容では、東日本大震災で勇気の象徴となった「陸前高田の奇跡の一本松」をイメージしたようだ。確かに「松」つながりだし、新年にもふさわしい。
そんな意外な話を胸に演奏会は始まった。いきなりの「祭り」だ。ご存じのようにこの曲は騒々しい曲の最右翼として有名な曲。大編成のオーケストラに加えて、ホール3階バルコニー付近でのトランペットバンダが咆哮する。佐渡さんの指揮がゆっくり目だったので手に汗握るスリルこそなかったが、大音響の充実を楽しむことはできた。しかし、この曲は迫力しか印象に残らないなぁ。好きな曲ではあるんだけど。2曲目は「噴水」。「祭り」と同様、この曲もタイトルからイメージができるので、聴いている方もいろんな想像ができて楽しい。
後半はローマ三部作以外の1曲から。この曲は高校生の時によく聴いていた曲だ。元はバロック音楽から来ているために、とても耳にやさしい。弦楽器のみの編成でしっとりと歌っていた。佐渡さんは気持ちよさそうに指揮をしていましたね。PACも弦楽器はウマイ。とてもいい響きだったと思います。そして、最後は「松」でフィナーレ。他の2作と違って「松」ってイメージしにくいんですよね。しかし、阪神と東日本を「松」でつなげる話を冒頭に聞いたが、なるほどと思った。曲を知っているのになぜ分からなかったのか。第4曲「アッピア街道の松」の勇ましさ。単に軍隊の行進をイメージしたことしかなかったのだが、栄光に向かって堂々と突き進む音楽がいかに勇気を奮いたててくれるか。まさに「奇跡の一本松」そのものであり、強く生きる象徴であるかを。佐渡さんの音楽も劇的な盛り上げ方で、会場はブラボーの嵐となった。立派な演奏だったと思います。
今日の演奏会はCD化されるようで録音マイクが多く並んでいた。満席の会場の熱気とともにうまく収録してもらいたい。
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