ゴールデンウィークの真っ只中のコンサート。こういう日に演奏会をするってどうよ? 人が来るのか?来ないのか? 3階席以上は販売すらなかったけれど、大ホールでの公演ということもあり、1階席も7〜8割程度の埋まり具合だっただろうか? この「びわ湖ホール名曲コンサート」シリーズはかなり低価格なのが魅力。今日のメンバーを見てもらっても分かると思いますが、紛れもない超一流の演奏家なので非常にお得な演奏会なのです。そういう意味ではもっと人が入るべきなんですけどね。。。
それはさておき、安いということを良いことに、珍しく最前列で見物しました(笑)。それもそのはず。川久保さんは私が最も素晴らしいと思っている日本人ヴァイオリニストだ。2006年のジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニーオーケストラでの演奏を聴いて以来、完全に心奪われてしまった演奏家です。さらに、伴奏もスゴイ。江口さんといえば、世界的にも引っ張りだこの名ピアニスト。特に伴奏で名高い。学生時代に何度かメールのやり取りをしたことがあるだけに親近感もある。チェロの遠藤さんも新進気鋭の実力派。こんな3人の演奏が聴けるとあれば、最前列で聴きたくないですか?!
演奏の方は細かく感想を書くのができないほど「圧倒的」な内容でした。大ホールをあそこまで響かせる演奏家ってそうはいないと思う。以前、ミラ・ゲオルギエヴァの演奏を聴いた時は、座席が異なるとはいえ、ボリューム感の薄い演奏に残念に思ったものです。川久保さんのヴァイオリンは弱音であってもしっかりと、そして美しく響く。テクニック的には全く文句がないだけに、音色にも力があると言葉を失います。。。圧巻だったのは「ツィゴイネルワイゼン」。こんな曲だったのか!と思ってしまうほど、曲の輪郭がくっきりと浮き上がり、猛烈なスピードのフレーズもゆとりさえ感じてしまうほどの演奏。間近で見ていてもあまりの超絶技巧に目を疑いました。
後半のピアソラはタンゴではあるものの、品が良くて非常に優雅な演奏でした。川久保さんだけでなく、遠藤さんのチェロにも驚愕しました。ここまで強靭に奏でられるチェリストというのはそんなにいるもんではない。素晴らしい逸材だと思った。江口さんも伴奏として完璧なサポートで、常にアンサンブルを整えるように息を合わせながらも、安定した流れるようなメロディは絶品だったと思う。アンコールはうれしい2曲。
ピアソラ/「天使の組曲」より“イントロダクション”
モンティ/チャールダッシュ(Trio編曲)
2009年コンサートカレンダーにもどる
|