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2009年1月31日 ドゥオール+小谷口直子
Music Collection vol.7 ニューイヤーコンサート(三田市総合文化センター 郷の音ホール 小ホール)

演奏曲目および評価

<小谷口直子>
テンプルトン/ポケットサイズ・ソナタ第1番より
サン=サーンス/クラリネットとピアノのためのソナタ 作品167
ミルッチオ/クラリネット・ソロのためのラプソディー
J.S.バッハ/あなたがそばにいたら〜アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖より〜
山田耕筰/からたちの花
モンティ/チャールダッシュ

<ドゥオール>
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲 K.492(連弾)
ミヨー/スカラムーシュ(2台ピアノ)
ブラームス/ハンガリー舞曲集第1番より第1番(連弾)
プーランク/シテール島への船出(2台ピアノ)
ショパン/幻想即興曲(2台ピアノ)
ラヴェル/スペイン狂詩曲より“フェリア”(連弾)

演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノデュオ:ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)
クラリネット:小谷口直子

感想・短評

ちょっとだけ遠征の演奏会。三田に聴きに行くことはそうそうないのだが、「なぜ?」と思うほどの立派なホール。駅からのアクセスはまずまず。駅前や道路が新しかったので再開発をしているのだろう。三田で電車を降りる人があまりにも多かったのがちょっと意外だったかな? 宝塚で降りる人が多いと思っていただけに。。。今回の会場は小ホール。大ホールは入っていないので分からないが、なかなか内装はしっかり作られている。印象的なのはホール内の側壁が波打ったデザインだったこと。びわ湖ホールの小ホールに似ているかな? 天井も高くよく響くのが特長のホールだ。

今日の演奏会はクラリネットの小谷口直子さんと、ピアノデュオのドゥオール(藤井隆史さん&白水芳枝さん)のジョイントリサイタル。地元出身のアーチストということで選ばれている。また、どちらも「公共ホール活性化事業アーチスト」として登録されていることも共通点だ。

前半は小谷口さんの登場。いつも京響で素晴らしい演奏を聴かせてもらっているが、リサイタルを聴くのは実は3年半ぶりなのだ。最初のテンプルトンから「参りました」と思った(笑)。ホールがよく響くというのもあるのだろうが、十分な音量で鳴り響く。一点の曇りもない柔らかで澄んだ音色はクラリネットのお手本とも言うべき内容。特に終楽章?のJazzyな表情は小谷口さんの得意とするところ。うますぎてお手本に出来ないのが悲しい・・・。文句の付けようはないが、伴奏のピアニストは邪魔しないような地味な演奏だったので遊び心も少なく、ちょっと噛み合いにくい箇所は多く聴かれたのが残念な点か。

サン=サーンスは少しゆとりのあるテンポで夢見心地な演奏。「ウマイ!」としか言えません。第1楽章の柔らかで漂うような中高域音階といい、第3楽章のオケではあまり聴かれない低域の音階といい。第2楽章や第4楽章の速いフレーズは完璧なテクニックを持つからこそ実現できる安定感でした。手に汗握りながら聴かなくて良いなんてなんと幸せなんだろう(笑)。これも文句の付けようがなかったです。

しかし、小谷口さんの真骨頂といえば無伴奏の曲であり、武満徹のような現代音楽だと思う。ミルッチオの曲は訳が分からないような前衛的な曲ではなく、クラリネットの可能性をフルに表現しているようなバランスの良いものだった。パンフレットを見ていると「楽章間の区切りがなく・・・」と書かれていたので、実際に楽譜を見たいものだが、その言葉だけで演奏の難しさが窺い知れる。静寂とクラリネット音と息遣いが楽譜に書かれているのか?どれも主役のように思えた。小谷口さんの人柄のためか、客層のためか、張り詰めるような緊張感はなかったが、観客もおとなしく聴き入っていた。何て表現したら良いのか分からないが、フレーズとフレーズをつなぐ音が正確なまでに均一だったのが一番驚いた。やっぱりウマイ(これしか言うことないのか?!)。

「チャールダッシュ」は言うことないっしょ。ホールが響きすぎなので一音一音の解像度は良くないが、ここまでテクニックを駆使されると謝るしかありません(笑)。爽快な演奏で楽しめました。

アンコールは、ブラームス/クラリネット・ソナタ第1番より第2楽章。この曲を選ぶとはさすが。今日のプログラムを最初から見てもらうとそれが分かるかと。ほぼ、タイプの異なる曲を全て盛り込んだという意欲的な内容なのだ。サラッとやっているようで、なんという表現力とレパートリーの広さか・・・。改めて小谷口さんの凄さを感じた気がします。

後半は珍しいピアノデュオの演奏。いつも思うが、デュオであっても1人で弾いているように感じてしまうのだから不思議だ(息が合っているということ?)。初めの「フィガロの結婚」は少し旋律側のパワー不足のためか、流れは良いんだけど華麗さに欠けるものだった。まぁ派手にすりゃいいってモンじゃないんだけど。

ミヨーは楽しかった。「大ぼら吹きの怠け者」というタイトルだが、それは置いておいたとしても、ミヨーらしい軽快で独特のプロヴァンスな香りが満々だ。2台のピアノが掛け合いが心地よかった。第3曲の「ブラジル風」は思わず踊ってしまいたくなるほどの能天気な曲なので、ソロではなく2台というのがより特徴を出していたと思う。

プーランクや歌曲のピアノ版と、耳に優しい曲が続いたが、最大の注目は「即興幻想曲」ではないだろうか?そもそもこの曲は1人であっても音が多く非常に華麗な曲。それを2台のピアノでやってしまおうというのだから。メロディが増えるわけでもなく、とても自然な感じで2人が奏でていた。しかし、やはりスケール感が大きくなり、豪華な響きとなっていた。全然違和感なかったが、こういう演奏もありだなと思った。

最後のラヴェルも充実した響きでホールを満たした。ここまでくるとほとんど管弦楽な響きですね。この複雑な曲を2人でよく演奏できるな・・・と思った。

アンコールは今日のクライマックスといっても過言ではなかった。前半に出演した小谷口さんのクラリネットとのジョイントだった。

 ミヨー/スカラムーシュより「ブラジル風」(クラリネットと2台のピアノによる演奏)

こういう編曲の曲ではないが、ここはフランス音楽の柔軟さ。こういう編成もアリです。というかこれが原曲ではないかと思うほどハマっていた。何しろクラリネットがウマイ。やはりこういうノリの良い曲になると小谷口さんは一層輝く。コラボCDでも出してもらえることを願いたい。

演奏会後にはサイン会も開かれ、非常に和やかな演奏会でした。満足のためか、今回のレポートは久々に長くなりました。。。

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