ウーヴェ・ムント、常任指揮者としての最後の演奏会。 いつもだと会場の入りは良くないのだが、今日はかなりのお客さんの数だった。といっても7〜8割ほどの入りだけど。
ムント氏を初めて聴いたのは、ちょうど3年前の京響の演奏会だった。その時は確かムント氏が京響の常任指揮者に就任する直前であった。あのときの驚愕するほどのブルックナーの演奏が昨日のように思える。今日はあのときの演奏に勝るとも劣らない素晴らしい演奏になった。
第1楽章。ハープが特に目立ちすぎていたのが気になった。オケは少々堅さが見られたものの、徐々にムント=京響の実力が発揮されていく。今日の弦楽器はいつも以上に艶やかでマーラーの最後の交響曲であることを十二分に表現していた。第2楽章は少し機械的になってしまった感はあるが、形良くまとめていた。第3楽章はややもすると大崩壊しかねない楽章。それも手堅いながらも攻撃的な演奏で料理していた。これ以上望むのは無理なのではないか? 弦・管・打。すべてがバランス良く鳴り響いていて非常に快感だった。そして、涙の最終楽章。痛切なまでのヴァイオリンの響き。これでムントの指揮が終わるのかと思うと本当に涙が出てきそうになった。この3年間の総決算ともいうべき充実した演奏。これまでの数々の名演奏が頭によぎる。ムント氏自身も同じ心境であったのではないだろうか。フィナーレに近づくほど時間が止まっていくような感覚になる。そして静かに最後の一音が鳴りやんだ後の無の空間に観客は微動だにしなかった。その後の堰を切ったような大喝采があったのはいうまでもない。
京響をここまで実力を引き上げたのもムントの手腕。今後も年に1回は京響を振ってくれるというのだからうれしいばかりだ。次期常任指揮者の大友さんにさらなる発展を期待しつつ。。。
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