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2003年11月7日 京都市交響楽団
第459回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

アイヴズ  交響曲第2番
ガーシュウィン  ピアノ協奏曲へ調
クラム  時と河のこだま



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: 小曽根 真
指揮: 井上 道義

感想・短評

いつものような客数だが、雰囲気はいつもと違った。井上氏のファンなのか? 小曽根氏のファンなのか? そういった感じの人が多く見受けられたからだ。アイヴズの第1楽章が終わったところで拍手が出たところを見ると、どうやら小曽根氏のファンが多いと見た。

アイヴズは非常に好きなのに、なかなか演奏機会が少ない。1998年に大阪センチュリーで交響曲第2番を聴いているので、マイナーな曲といえども2度目なのだ。井上氏らしく起伏を強く出した曲作り。そのせいか、いつもの京響に比べると荒さが目立っていた。特にホルンの響きが美しくなかった。弦も少しひ弱な感じがした。もっと、アメリカのノスタルジックな雰囲気を醸し出して欲しかったところだ。フィナーレは井上氏らしく大騒ぎ。最後の不協和音に会場は意外と驚いていなかったが、曲を知っている人が多かったのだろうか?

さて、本日の大注目はジャズピアニスト小曽根氏との競演によるガーシュウィン。押しも押されぬ日本ジャズピアノ界の第一人者との競演に会場の期待は最高潮に。その期待通りに、いや、期待を大きく上回るものとなった。近年まれに見ると言うか、これほどエキサイティングな演奏会がかつてあっただろうか? 凄まじいほど完ぺきなジャズクラシック。笑顔で楽しそうに弾く小曽根氏につられるように、オケが今までにない輝きと生気をみなぎらせていた。第3楽章での即興演奏には、ただただのけ反るばかり。今年No.1の演奏はこれで決まりかな?

ガーシュウィンの圧倒的な演奏が終わった後の曲なので、どのような曲が来ても驚かないはずなのだが、あまりに奇妙キテレツな曲にひっくり返りそうになった。指揮者の周りに、ピアノ2台、鉄琴、大太鼓、ハープ、ドラ、カウベルなど10数種ほどの打楽器群、その周りに弦楽器と木管などがあり、さらにそれを取り囲むようにおびただしい打楽器群が・・・さらに驚きなのは、指揮者の真ん前にあった水槽(金魚の絵を貼り付けていた)。これはもはや演奏会ではなくなっている。二度と聴くことが出来ないモーレツな曲、いや、音の記録だ。楽器の配置だけで10分を要したのだから。

曲が始まってからも摩訶不思議な様相を呈していた。主は打楽器と木管。弦楽器は背景という感じか。何よりの特徴としては、楽器を正しく鳴らしていないところだ。ピアノは弦を直接弾いたり、バチでたたいたり、タンバリンを載せて弾いたり。ハープなども然り。金管陣は5〜6人に分かれて宗教儀式のように舞台上をゆっくりと行進している。金管も吹いているが息だけだったり。水槽の使い方は?・・・ドラを水に漬け込んでたたいていました。全てが奇妙な光景。最後は口笛に合わせて、指揮者も退場し、会場の照明が全て落とされ終了。20分ほどの曲だったが、見どころは十分で、会場からは笑いが起こる訳でもなく、息を飲むように見入っていた。これはCDで聴くとただの訳の分からない曲だろうが、実際に見ると何ともユニークなオーケストラショーだ。

今日の演奏会はいろんな意味で今までにない充実した最高の演奏会であった。

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