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2006年4月22日 京都市交響楽団
第487回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

ベートーヴェン  序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第1番
R.シュトラウス  交響詩「英雄の生涯」



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: スティーヴン・コヴァセヴィチ
指揮: 大友 直人

感想・短評

久々に京都に来たら、ホールもオケもレベルアップしたような感じがした。これまで京都コンサートホールは“響かない”と思っていたが、場所によっては逆に“響きすぎる”ようだ。オケもメンバーが少し変わり、より充実感が増したように思う。変わってないのは観客の少なさだろうか・・・

さて、1曲目は「レオノーレ第3番」。女性的な部分と男性的な部分を併せ持った非常に完成度の高い演奏だった。テンポを少しだけ抑えめにして、細部までしっかりと鮮明に描ききっていた。強弱がしっかりと表現されていたのも良かった1つの理由。バンダだった菊本さんは相変わらず上手い。唯一残念だったのはフルートの調子が今ひとつだったことくらいか。何にしてもすばらしい演奏でした。

2曲目は巨匠コヴァセヴィチを迎えてのベートーヴェン。極端に低い椅子に座っての演奏にも目を奪われたが、さすがに熟練したピアノのタッチは聞いていて安心感があった。圧巻は第2楽章。クラリネットの小谷口さんとピアノの掛け合いはまさに天上の音楽。平和極まりない世界と、現世とのギャップがより魅力を大きなものにしていたのかもしれない。この楽章だけでも聴きに来た価値はありました。

アンコールもベートーヴェンを披露してくれた。とろける旋律はやはり年の功です。
  ベートーヴェン  「バガテル」より

さぁ、後半は「英雄の生涯4連発」の中でも最上の演奏になった。なにしろダイナミックレンジが広い。大友さん&京響はダイナミックかつロマンティックで、密度の非常に濃い演奏を聴かせてくれた。京響はR.シュトラウスにとても合っているオケだが、今日は特に優れた演奏に感じた。「英雄の敵」は予想以上に上手かった。適当で退屈な演奏が多い中、細かなところまで丁寧に演奏するとここまで魅力的になるもんなのだ。見本のような演奏でした。「英雄の伴侶」でのヴァイオリンソロは今回からコンマスになったニキティ。ちょっと先走り過ぎな面もあるものの、音の安定感はさすがによい。しかし、京響は相変わらずクセのある人がコンマスになる気がするなぁ。「英雄の戦い」での爆裂的な大音響は京響の得意なところ。決して荒いだけにならず、バランスを維持しているところが凄い。第1主題が現れるところなどはドラマティック! しつこいくらいの演奏がいいんですこの曲は。

今日のプログラムは魅力的なものばかりだっただけでなく、これまでの演奏会の中でも上位に入る充実した演奏会だったと思う。これからも京響からは目が離せないのだ。


【余談】 昨日の大植さんに続き、この4月に関西オケの4つの定演で「英雄の生涯」が取り上げられていることについて、終演後に大友さんにも聞いてみた。やはり状況は知っていたが、曲が重なったのは全くの偶然とのこと。ベートーヴェンとの組み合わせが多いことについては「へぇ、そうなんだ」といってましたが(^^; 
いつものように小谷口さんと話をして、今回は首席就任記念と言うことでクラリネットケースにサインをいただきました。今後のますますの活躍を期待しています!


【特別企画】 今年の4月は関西のオケで偶然が重なっている。4つのオケ(PACオケ大フィル京響大阪センチュリー)の定演で「英雄の生涯」が取り上げられているのだ! それぞれに違う「英雄の生涯」を聞き比べられるという、滅多に出会えない貴重な1ヶ月。「関西オケ・英雄の生涯4連発」ということでお届けします(笑)。

4月8日 佐渡裕指揮 兵庫芸術文化センター管弦楽団
4月21日 大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
4月22日 大友直人指揮 京都市交響楽団
4月27日 小泉和裕指揮 大阪センチュリー交響楽団

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