今日のロビーコンサートはヴィオラ・アンサンブル。ロビーという場所にもかかわらず、音程が安定していて非常に美しかった。好きなバッハのヴァイオリン曲だが、この演奏で全曲を聴いてみたくなりました。開演前の優雅なひとときでした。
J.S.バッハ/野平一郎 4つのヴィオラのためのシャコンヌ
さて、本編はエルガー特集。最初のチェロ協奏曲はイメージと異なるエルガー演奏だった。スローテンポでささやくような語り口で始まる。よくある、キレのある攻撃的な演奏とはほど遠い。オーケストラも小声で語り返すような繊細さ。落ち着きのある上品な柔らかい演奏で楽しめました。ただ、各パートの結びつきというか、響きに弱さがあったため、バラけ気味なところはあった。そのスキマを上手く埋めていたのが木管セクション。特にチェロとの相性の良いクラリネットは接着剤のように埋めていたのが良かった。ソリストの横坂さんは若いながらもベテランのような弾きっぷりが印象的。チェロらしい落ち着き感があったのはスゴイと思いました。
後半は大曲の交響曲第1番。大友さんの十八番ということもあり、非常に充実した名演だったと思います。イギリスのオケが演奏するような、紳士的な威厳や温もりのあるものとは違いましたが、純粋に音楽として美しく再現されていました。少しゴテゴテ感のある交響曲に思えるけれど、大友さんはバランスよくまとめていたのが素晴らしかった。冒頭こそもっとボリュームを小さくしてもらいたかったが、鳴らすところではどのパートもしっかりと音を出しており、迷いのない気持ちよさがありました。やはり最大の功労者は金管セクションでしょう。特にトランペットの活躍は凄まじかった。全ての楽章が完璧でしたが、一番印象的だったのは第3楽章の最後。ここはクラリネットのソロで終わるのですが、あまりにもはかなく美しい音色!思わず涙が出そうになったくらいです。こういうシーンは小谷口さんの独壇場だと思います。大友さんも「ブラボー」とつぶやいていました。
あまり演奏されないエルガー作品(特に交響曲)だが、11月の京響定期では第2番の演奏も予定されている(残念ながら行けない)。このような意欲的な演奏会が増えてくると、もっと全国的に京響は注目されてくるんだろうが、いかんせん京都市民の関心はそういうところにないのが難点だなぁ。エルガーを聴きながらそう思いました。
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