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2009年6月7日 京都市交響楽団
第525回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

ガーシュウィン/キューバ序曲
リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲 op.34
トゥリーナ/交響詩「幻想舞曲集」op.22
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ラヴェル/ボレロ





演奏者(指揮者・ソリスト)

管弦楽:京都市交響楽団
指揮:ジョン・アクセルロッド

感想・短評

アクセルロッド恐るべし。素晴らしい逸材がまだまだ世界には埋もれているもんだ。ルツェルン交響楽団の音楽監督とのことだか、このオケは昨年?初来日したというほど日本では無名のオーケストラだ。2年前にルツェルン音楽祭に行ったときに初めて知ったオケだが、かなり大物をゲストとして招聘するなどしていたので注目していた。

さて、演奏の方は「キューバ序曲」からエンジン全開。この曲の演奏としては最上級の出来ではなかったか? 音程がズレ易いトランペットが最高の働きだった。管楽器と打楽器に長ける京響ならではの充実したアンサンブルだったと思う。少しテンポが遅めで始まったが、オケやホールの特性を良く理解した指揮振りだったと感じた。

「スペイン奇想曲」はこれまでで最も満足できた演奏だった。あまり遅くならず、速くならず(最後はまさにアクセルロッド、もとい、アクセルタクトでしたが)、快適なリズム感でした。やっぱり玄さんのクラリネットが最大の聞き所だった。冗談じゃないくらいの高速指回転なのに、安定したメロディが美しかった。フルートも好演。この充実感は何? 京響はまさに黄金期だということを印象付ける豊かなリズムと響きだった。

後半はさらに緻密さと安定感を見せつけるパフォーマンスでした。ラヴェルの2曲が秀逸。「スペイン狂詩曲」はゆったりとしたテンポ、あくまでもピアニシモに徹するといった感じで、非常に繊細且つ緻密な演奏だった。最弱と最強との音の対比が絶妙なまでにバランス良かった。まだまだ余裕アリって感じの京響なのがうれしい限りです。各ソロ奏者の力量が堪能できる演奏でした。

最後の「ボレロ」。スケール感と正確無比さはかつて聴いたことがないくらいだった。やはりなんといっても最大の功労者はスネアの石倉さんでしょう。終わった後、大歓声の中、指揮者が指揮台に連れて上がったくらいですから。前代未聞です。パーカッションの花形曲といえど、ここまで注目を浴びる曲は他にないですからね。スネアの素晴らしかったところは、粒の揃った音に、確固たる信念を持って精密に時を刻み続けたこと。途中、勇み気味な金管にも動じず、逆に遅めに引き戻すかのような冷静さには正直参りました。もちろんこの曲は素晴らしいソロのオンパレードですが、どの奏者も目立ちすぎることなく適度なバランスを保っていたのが素晴らしい。最後の大熱狂は確約されたような演奏でした。

長大なメイン曲がないプログラムでしたが、ここまで観客を満足させた演奏会は珍しいのではないだろうか? 私も興奮のためか、珍しく身体が火照ってボーッとしてしまいました。京響の黄金期がまさに今だということを感じさせる1日でした。

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