今シーズン最初の京響定期公演。大友さんでロシア音楽と言うところには疑問も多いが、マニアックなスクリャービンも聴けるので、プログラム的にはなかなか素晴らしい選曲だ。
前半は比較的小品のみの演奏。ラフマニノフは感傷的な名曲だが、京響の弦楽セクションはもの足らないので、全体的にサラッとしたものだった。大友さんの指揮がさらに拍車をかけていたと言っていいだろう。続くプロコフィエフも同様だ。テンポも一定で特に速いわけでもなく安全運転。制限速度守ってますといった曲の運び方。ここでも弦楽器が印象薄かったなぁ。木管は健闘していたが、花形のフルートは今一歩。
後半はスクリャービンの大曲だ。珍しい曲にもかかわらず、京響定期では3年前に取り上げていて、素晴らしい名演を繰り広げてくれたのは記憶に新しい。今回は大友さんなのでどうなるのかと思っていたが、なかなかどうして、円熟の聴かせるスクリャービンでした。前回の印象としては溌剌とした明るく華やかなものだった。しかし、今回は強奏もほどほどで、鋭さをはぎ取ったスクリャービンだった。こっちの方が本当の演奏かな?パーンという金管はなく、プワーンという柔らかさがあったというと分かりやすいだろうか。特に第2楽章は素晴らしかった。勢いや鮮烈な印象の演奏に真っ向から対抗した美しい演奏だったと思う。京響の実力もさらに上がったという証明なのかもしれない。
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