マーラー「復活」。私の最も愛するクラシックの名曲。この曲のCDはいったい何枚持っているのかすら分からないほどある。そんな「復活」ですが、以外にもこのところは演奏会も多くなかった。もちろん大曲なのでそんなにあるわけではないのだが、昨年のマーラーイヤーでも乱発されることはなかったように思う。言い換えれば、それだけ軽く扱えない曲ともいえるだろう。
今日の演奏は京響だ。京響で「復活」を聴くのも初めてだし、京響だからこそ聴きたいし、その期待も大きい。ただ1つだけ難点があった。それは指揮者。「だれ?」と思ったのは私だけではないはずだ。少なくとも日本ではほとんど聞かない名前だ。経歴を見ると海外で活躍しているようなことが書かれていたが、その噂は日本には入ってきていない。どうも滋賀出身とのことで地元にも顔が利く家柄でもあるらしい。この企画も3回目とのことだが、過去に聴いたことがないので、今回が初めての挑戦だ。不安要素はあるが、京響の爆裂的な名演に期待して挑んだ。
曲目を考えると当たり前であるが、会場はほぼ満席状態で大盛況であった。京響も大編成でステージ上に鎮座していた。そして、冒頭からのけ反るような力強い低弦が響き渡った。篠崎氏の指揮は遅めのテンポでしっかりと曲を作っていく。木管や金管が入ってくるともう京響ワールドに突入だ。ちょっと飛ばし過ぎじゃない?!と思うほど初っ端から鳴らす鳴らす。すごい演奏だが、体力的に持つのか心配も少し。今日の京響は全くスキのない演奏だったと思う。緊張感が素晴らしく、金管の鳴りっぷりを聴いていると海外の有名オケと間違えてもおかしくないほどだった。
第4楽章でようやくメゾ・ソプラノが登場する。アンナ・クオさんは安定感があり、芯の太い歌声で好印象だった。第5楽章に入っても京響の勢いは止まらない。多少疲れは見えなくもなかったが、後半は打楽器陣の躍動も文句なしで迫力満点だ。そして合唱の登場。合唱はかなりの大人数のために、冒頭のボリュームも大きくて厳かさというのはなかったものの、特に問題となるところもなく出来の方はまずまずだった。そのあとは大合唱と大オケのバトルと言っても過言ではなかったが、意外にもバランスは良かった。最後の方は少し金管もバテ気味ではあったものの、最後の最後まで緊張感を保ったまま劇的に幕を閉じた。
いやー、予想以上に良い演奏でした。心配していた指揮者自体も、マーラーが心から好きで指揮をしているようで印象は悪くない。むしろうまく指揮したといっても良いのではないだろうか?作為的なところはなく、かといって退屈な演奏でもなかったので、私は嫌いではなかったです。
しかし、こういう大規模な曲は京響の独壇場だ。マーラーでなくてもいいが、やはり作曲家チクルスを毎年するくらいの企画が欲しい。日本で最も熱いオケだと思うので、全国から関西に観客を呼べる企画をやって欲しいものだ。
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