アンナ・ネトレプコ |
今注目のソプラノ、アンナ・ネトレプコ。日本初のリサイタルとあって、とても注目されていたはずなのだが、ホールは5割ほどしか埋まらないお寒い状況。びわ湖ホールは入る時と入らない時では大きく客の数が異なる。とりわけリサイタルなどは入りが悪いように思う。それでも今日の演奏はそんな寒さを吹き飛ばす熱演となった。
冒頭のモーツァルトからすでにエンジン全開。R.シュトラウス「献呈」ではダイナミックな伴奏とともに聴き応え満点。続く「ツェツィーリェ」「宝石の歌」で観客のボルテージも最高潮に達する。「まだ前半戦ですよ」って言いたくなった。清らかでとても繊細、それでいて芯がしっかりしている。寸分違わぬ正確な音程のために聴いていて非常に心地よいのだ。声を張り上げる箇所なども全く下品になることなくこなす。ほんと、非の打ち所のない歌手っているんですね。
後半戦はロシアの歌曲がメインとなり、前半とはかなり雰囲気が異なる。しかし、1曲目のドヴォルザークは唯一聴いたことある曲だったためかとても魅力的だった。どう表現すればいいのか分からないが、暗い部分、影の部分をうまく表現していたように思う。ラフマニノフも、その暗さの部分を見事に歌いきった。しかし、少ない観客を熱狂の渦に巻き込んだのは言うまでもなくアンコールだった。あまりの熱狂に大サービスで3曲も披露してくれた。すべて歌曲ではなくオペラ曲。
プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」より“ムゼッタのワルツ”
プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より“私のお父様”
ドニゼッティ 歌劇「ランメルモールのルチア」より“あたりは沈黙に閉ざされて”
ネトレプコはオペラ歌手なんだなとつくづく感じさせられた。まさに「1人オペラ」なのだ。1人(+ピアノ)でホールをオペラハウスに変えてしまう人はそれほどいないはず。そんな彼女が歌うメジャー曲の大サービスに、まるで満席のホールが喝采を送っているほどの熱狂に包まれた。今日の公演を聴かなかった人は後悔すると断言できるほど素晴らしいリサイタルだった。終演後にロビーでサイン会が行なわれたが、スゴイ混雑だったことはいうまでもないデスね。ちゃんともらいました。
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