初めてのサントリーホール。ほとんど関西の演奏会しか行っていないので、とても楽しみであった。それも日本を代表するクラシックの殿堂「サントリーホール」だからだ。テレビでは何度も観ていたのだが、初めての感想としては「思ったよりも質素」だった。テレビではかなり豪華に目に映るが、実際はパイプオルガンこそ豪華なものの、ホールの造りとしてはシンプルで無機質とさえ感じた。ただ、他のホールと違って決定的に違うところは、どの席に座っても舞台が全て見渡せるということ。言ってしまえば全席S席である。1階席の後方と後方両サイドは2階席のかぶりが大きいために音響的に悪そうだったが。。。
さて、そんなサントリーホールで聴くのは、新日本フィルだ。初めてにしては上等の組み合わせだ。それもベロフのピアノあり、R.シュトラウスの大曲もありという豪華なプログラム。サントリーホールの実力を知るには文句ないお膳立てである。
席は2階席左後方。後ろの方とはいっても良く見える。1曲目はベロフによるバルトーク。良く見えるのだが意外と音が飛んでこない。前方で鳴っているという感覚だ。そういうこともあり、ちょっとボリューム感に欠ける演奏に聞こえた。オケの方は丁寧に演奏していたのだが、この曲はバルトーク。もう少し野性的に食いついてくるくらいの白熱さが欲しかった。ベロフも同様で、熱さを感じることがなく、非常に丁寧に弾いていたという印象。それでもオケとピアノのバランスは良く、まとまり感のある演奏になっていた。来週はベロフ&大フィルの演奏会が控えている。3演奏会連続してベロフのピアノを聴くことになるので、実力の程をじっくり堪能できるのはうれしい限りだ。
会場はほぼ満席だったのだが、後半は2階席右前方の席が若干空いていたので移動することに。オケが間近に見下ろせる好位置。さすがにこの場所は音響的にも素晴らしかった。冒頭の重低音をしっかり感じることができただけでなく、ホールの残響をもしっかりと楽しめた。演奏の方は見事なもので、ギルバート氏の正統的な指揮の下、オケも非常に深みのある音色で絶えることなくR.シュトラウスの世界を演じていた。文句をつければ、少し木管が弱いために細かな表情に乏しくなる節が見られたところ。そういう部分を補ってあまりあったのは、コンサートマスターである崔文洙によるソロ部分。この曲はソロの部分が多くて大変だが、文句の付けようがないうまさだった。これほどのヴァイオリンソロは今の関西のオケでは聴くことができないだろう。
ソロの部分の上手さを助長していたのがホールの音響である。小さな音から大音響まで柔軟に響かせるサントリーホールはさすがだ。響き自体は、ザ・シンフォニーホールの暖かみある表情の方が好きだが、音空間と残響のスケール感はサントリーホールがピカイチ。甲乙付けがたい。どちらも個性的な響きを感じることができる素晴らしいホールなので非常に面白い。
初めてのサントリーホールで素晴らしい演奏を聴かせてくれた新日本フィル。今度は大阪のホールでも演奏してもらいたい。また、東京には多くのホールが存在しているので、時間があればホール巡りでもしてみたいものだ。
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