関西を中心としたクラシックコンサート報告サイト「大音楽惑星」
Home Concert Report コンサートのススメ CD Review リンク集 kotarinette
 大音楽惑星 ホーム > コンサート報告 > 2003年 > NHK交響楽団
クラシック・コンサート報告 コンサート報告
■年度別

■コンサートランキング
MANAITA.com
コンサート名・公演名

2003年2月25日 NHK交響楽団
(NHK大阪ホール)

演奏曲目および評価

ベートーヴェン  歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン  交響曲第8番
ブラームス  ピアノ協奏曲第1番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: 清水 和音
指揮: ウーヴェ・ムント

感想・短評

 久々にムント氏の指揮が聴けるとあって非常に楽しみにしていた演奏会。更に京響ではなくN響というから期待も募る。ムントの指揮は非常に正確かつ優等生的。京響のときと同じスタイルであったので懐かしさすら覚えた。ただ、京響のときと違うのはオーケストラから発せられる音色だ。京響はいつもはつらつとした「全力投球」の演奏でいつも魅了されるが、その若々しさゆえ「深み」「厚み」というものに乏しい。しかし、N響はその正反対で「生真面目」なんだが、「厚み」「深み」が素晴らしく、文句の付けようのない「安定感」がある。その違いがあり、ムント氏の指揮する曲もオケの違いで表情が全く異なっていた。若手オケとベテランオケと言う表現が分かりやすいかもしれない。どちらがいいということも言いがたいが、N響の完成度は格別のものがあった(個人的には本当に優劣はつけられない)。

 オープニングのフィデリオ序曲はあっさりと終わってしまったが、驚いたのはN響の分厚いながらも鋭い切れ。やはり放送オケだからだろうが、見栄えが素晴らしい。弦楽器の全てのボウイングが揃っていたのは見事だった。速いテンポで突き進むムントの指揮は面白みにかけたが、「オーソドックス」のよさを感じたのも否めない。

 ベートーヴェン8番はフィデリオの延長にあるような演奏だった。いきなり最初の1音がすさまじく「キレ」ていた。1音1音をしっかりと噛み締めるような演奏は爽快感たっぷり。速いテンポでも全くのズレがなく抜群のまとまり感があった(こういう曲は演奏しやすいのかもしれないが・・・)。早い分、あのくどいフィナーレも冗長さを感じることがなかった。

 後半はブラームス。本当に久しぶりのピアノ協奏曲第1番。生で聴くのは10年以上前のベルリンフィル以来であり、CDなどもこのところ聴いていなかった。改めて聴くと良い曲だが、いろんな要素が詰まりすぎでちょっとゴチャゴチャしている曲ですね。さて、演奏の方はバッチリでした。冒頭の部分で思ったよりも弦楽器の厚さが感じられなかったのだが、それは思い過ごしで曲が進むにつれ重厚感に圧倒された。ちょっと金管が浮いていたのが気になるくらいか。特に驚いたのは清水氏のピアノ。最初ははっきりしないふわふわした感じがしたが、本領が発揮されるとまさに猛獣のごとく強大な音量でピアノをたたきまくっていた。いろいろ聞いてきたが、日本人ピアニストでこれほどパワフルな人を聞いたのは初めて。さらにテクニックも申し分がないほど豊か。クライマックスは曲が終わるのが惜しい気持ちになるほどだった。オケも最後まで変わらぬ完成度の高さだったが、最後の2音目で金管が紛れて変な音を出していたような。。。

 会場からの割れんばかりの拍手に応えて、清水氏が1曲アンコールを披露してくれた。

 ブラームス インテルメッツォ118-2

 ピアノ曲はあまり聴かないので、知らない曲だったが素晴らしい演奏だったと思う(CD買おうかと思うくらい)。

 NHK大阪ホールは柿落としの時に聞いた時は良い印象はなかった(というか悪かった・・・)のだが、今回はその時の響きがウソのように響いていた。さすがに時間がたつとホールも良くなるのだろうか(スピーカーとかは使い込めば良くなるんだけど・・・同じか?)。N響の調子が違っていたこともあるだろうが。何にしてもN響はどこで聴いてもうまいねぇ。

2003年コンサートカレンダーにもどる

Copyright