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2002年7月12日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第360回定期演奏会(フェスティバルホール)

演奏曲目および評価

ベルリオーズ  死者のための大ミサ曲

演奏者(指揮者・ソリスト)

テノール: 市原 多朗
合唱: 大阪フィルハーモニー合唱団
副指揮: 下野 竜也、松沼 俊彦、吉田 行地
指揮: 秋山 和慶

感想・短評

大阪フィルハーモニー交響楽団

今日は夢にまで見た大曲の登場だ。初めてCDで聴いたのがちょうど10年前だから「ようやく生で見られた」という感が非常に大きかった。この厳かで大迫力の曲を大フィルがどのように料理するのかも今日の楽しみ(不安)であった。

会場に入って置かれていた楽器の配列にビックリする。事前には知っていたものの、まず目に飛び込んできたのは、ティンパニが横1列に8対(16台)置かれているさまだ。また、この曲はオーケストラ本体から切り離された4つの小オーケストラがホールの4隅に置かれている。4隅と言うよりは東西南北(舞台中央奥、ホール後方中央、ホールサイド中央)に十字状に置かれているのだ。「!」。この時「十字状」に置かれている理由が分かった。そう、この曲はキリスト教の鎮魂歌なのだ。いままで単なる立体音響の効果をねらったものだとばかり思っていたが、このような意味合いがあったとは・・・ さらに驚いたのはそれぞれの小オーケストラに指揮者がついていたこと(本体と舞台中央奥:秋山氏、ホール後方:吉田氏、ホール右サイド:下野氏、ホール左サイド:松沼氏)。つまりこの曲は4人の指揮者で演奏されるのである。本で読んだ楽器編成からするとまだ半分くらいと少ないが、まぁこれでも大規模なことには変わらなかった。私が見た限りではオーケストラの主な編成は下記の通りであった。

 舞台中央奥:トランペット2、トロンボーン2
 ホール後方:トランペット2、トロンボーン2
 ホール右サイド:トランペット2、トロンボーン2、チューバ2
 ホール左サイド:トランペット2、トロンボーン2、チューバ1
 本体オーケストラ:ホルン8、金管バンダ?人、木管各4、ティンパニ16台(9人)
    シンバル9(ティンパニと同人数)、合唱約200人 ・・・主な編成

肝心の演奏の方は結構合格点ではないだろうか? 合唱はさすがにアマチュアなのでムラが大きすぎてイマイチだったがアマなので仕方あるまい。。。恐れていた金管陣はとてもがんばっていた。いつものような耳につく音も出さないし外すこともなかった。それだけに本当に安心して曲自体を楽しむことができたのだ。

注目は第2曲の「ディエス・イレ」。小オーケストラが掛け合いながらファンファーレを奏で、盛り上がったところで16台のティンパニの連打! 前から横から後ろから、そしてホールをとどろかせる音響に鳥肌が立った。このような立体音響は初体験である。さらに2度目のティンパニ連打の時は最後の審判として9つのシンバルが炸裂する。まさに夏の風物詩である花火大会の「ワイドスターマイン」を見ているような広がりで客席を襲った。200人の合唱が聞こえないほどの音響はなかなか他の曲では聴けないのではないだろうか?

もう一つのクライマックスは第6曲「ラクリモーサ」。ここでも同様の光景が広げられた。。。規模の大きさにさすがに言葉もなかった。「これがベルリン・フィルだったら・・・」なんてアホな想像をしながら楽しんだ。

ただ迫力なだけがこの曲のすごいところではない。大編成での究極の弱音があるところも魅力の一つ。第9曲「サンクトゥス」ではテノールの独唱に合わせて9つのシンバルが最弱音で広がりのある音を聴かせるし、第10曲「アニュス・デイ」では小オーケストラと16台のティンパニが聞こえないほどの小さな音で天上へと導く。こういうところもライヴでないと全く分からなかったところだ。

最良の演奏というわけではないのだが、この曲の持つ魅力を今日は示してくれたので、とても意味深く、貴重な演奏会であったことは確かだ。贅沢を言えばもっと一流のオーケストラでもう一度聴いてみたいものだ。

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