今年初であり、久々の大フィル。今回は何と言っても、関西を代表するジャズバンド「北野タダオ&アロージャズオーケストラ」との共演が目玉である。ナイトクラブ出身のジャズバンドと、伝統のある大フィルとのかけ合いは多いに楽しみ。そんなこともあり、会場はさすがにほぼ満員の状態。プログラム的にはそれほど魅力的ではないものの、話題性が勝ったか。
さて、最初はグルックの序曲。グルックは私にとっては全くなじみのない作曲家。地味な存在なのであまり聴かないのだ。若杉さんは非常にテンポをふっくりと取り、機械のように一定のリズムで指揮をしていた。オケも落ち着いた演奏で結構心地よかったが、若杉さんのテンポに合わせられない個所も見受けられ少しぎこちなかった。
リーバーマンは一転してハイテンポだった。クラシックパートは退屈気味な現代音楽調だったが、ジャズパートはそれと全くかい離した分かりやすいノリとリズム。かなり走り気味だったのが気になるが、楽しさは満点。クラシックとジャズの違いの明確さが面白い反面、曲の意図がちょっと分からなかった。最後はマンボのリズムで融合をはかり、お祭り騒ぎに。その割には最後はあっさりだった印象。アンコールではジャズバンドが定番曲、デューク・エリントンの「A列車で行こう」を披露。これもハイテンポだったが、各プレーヤーの妙技が拝聴できて楽しかった。こういう企画はたまにして欲しいものだ。
最後はチャイコフスキー。何度となく聴いている曲だが、今日の演奏は若杉さんの解釈をそのまま大フィルが表現していてくれていたら名演だったに違いないだろう。ものすごくテンポを遅くし、壮大なスケールの若杉さんの指揮。全く慌てることはしない。その分、オーケストラもごまかしが効かないため、1音たりともおろそかにできない。しかし、そのテンポにオケはあまり付いていっていなかった。どうしても先走ろうとしてしまうため、何度となくぎこちない箇所が表れる。とは言っても、大フィルは最近調子いいだけに、数年前とは比べ物にならないくらいしっかりと演奏できている。これでもっとスケール感の大きな演奏ができてくれると、関東のオケにも負けないようになると思うのだが。勢いだけの演奏は特に必要ないので、今後にもっと期待したい!
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