このところ集中力に欠ける日が多くて、精神的にも参りかけているが、今日の演奏は逃すわけにはいかない。というのは、大好きなR.シュトラウスがメインだからだ。それも大作の割りに意外に演奏機会の多い「アルプス交響曲」だ。生で聴くのはこれで6回目かな?
最初は申し訳ついでのようなピアノ協奏曲のように思っていた。しかし、このピアニストがなかなかの実力の持ち主だった。かなりゆったりなテンポで1音1音繊細に紡いでいく。オケの締まりのなさとは対称的に曲に入り込んだピアノの調べだった。第3楽章でようやくオケがシンクロしてきて、充実した響きを聴くことができた。でも、最大の楽しみはその後のアンコールだった。何と大植さんとの連弾でブラームスのハンガリー舞曲。大植さんはオーバーアクションでちょっとやりすぎでしたが、とても盛り上がったショータイムだった。最後にカデンツァで「ラプソディー・イン・ブルー」を入れたのは、2曲目のアンコールの予告だったか。性格の異なる3曲を弾きこなす音楽性の持ち主のピエモンテーシは目が離せない存在となりそうだ。
ブラームス/ハンガリー舞曲第5番
ガーシュウィン/エンブレイサブル・ユー
さて、後半は楽しみの「アルプス交響曲」。座席はシンフォニーホールの中でも劣悪な部類に入る席だったので、舞台の6割は見えないが、何度も聴いているので勝手は知っている。にも関わらず、冒頭から何だかスッキリしない旋律が聞こえてくる。そして唐突に「夜明け」が告げられる。それも快晴ではない、雲に隠れたアルプス。なんだろうなー。以前、京響で聴いたような煌びやかさはない。そんな状態のまま、ようやく頂上付近で雲が晴れた。ただ、オルガンが耳障りでほとんどメロディがかき消されていたように聞こえた。こんなにオルガンって目立ってたっけ?下山に入る頃には金管も悲鳴に変わり気味で、嵐に入ると何が何だかグチャグチャ。ホールが響きすぎなのか?
いくら聴き手が集中力に欠けるとはいえ、整理されてない「アルプス交響曲」に感じた。完成度はあまり高くなかったと思う。大フィルの底力を持ってしたら、こういう曲は壮大に鳴り響くはずなので、次回(いつ?)はクリアに澄みきった雄大なアルプスを拝みたい。
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