チケットが安く手に入ったので予定外に足を運んだ。シュテファン・ドールがソリストとして登場するといっても、若手指揮者でマニアックな曲目なので入りは悪いと思っていた。しかし、なんのなんの。客席はほぼ埋まっていた。まだまだ大フィルには集客力があるんだなぁ。
最初の現代曲はよく分からなかったのでパスするとして(笑)、ベルリン・フィルの首席ホルン奏者のドールが登場したグリエールは聴いたことなかったがおもしろい曲でした。現代に近い作曲家なのに、ロマン派の流れをしっかり受け継いでいて、とても馴染みやすい。それとは裏腹に、ホルンパートは超絶技巧のオンパレードで、その不思議な取り合わせがユニークだった。圧巻はなんといってもカデンツァでしょう。難しすぎて楽譜通りにしない演奏家もいるくらいらしいが、ドールに至ってはさらにアレンジもしてるんじゃないかと思うほどスーパーテクニックの連発でした。ホルンからいろんな音が出るとは夢にも思わなかったわ。
さて、今日の指揮者の山田さんはブザンソン指揮者コンクールの覇者で、小澤征爾のお墨付きでも知られている。まだまだ若いからか、指揮姿にもオーラは感じられず、なんとなくフニャフニャしていて指揮も分かりにくく思った。後半のベルリオーズは実力を知る上でも格好の曲だ。
聴き終わっての感想としては「音楽づくりがウマい」の一言に尽きる。何しろ、暴れ馬の大フィルをここまで制御したのは実力の高さだろう。穏やかで整った大フィルの演奏を聴けたのは予想外だった。痛快な演奏を期待していた人にはもの足らなかったかもしれないが、第1楽章から第3楽章なんかは美しさに聴き惚れたくらいだ。特に睡眠薬として名高い第3楽章を刮目して聴けたのは奇跡だろう(笑)。第4楽章こそ、断頭台に登るには表情が明るすぎたが、終楽章は大熱狂となりました。Esクラのブルックスさんは完璧なすばらしい働きでした。クライマックスの曲運びが絶妙で、会場はブラボーの嵐となりました。いつものような、ただ盛り上がりだけのブラボーとは違う興奮が渦巻いてました。
いやー、山田さんはまだこれからだろうけど、十分な素質を持っている指揮者ですね。今後の成長に大いに期待できます。
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