いままで多くの日本人指揮者の演奏を聴いてきているが、小澤氏の指揮を聴くのは以外にも初めてだ。先日、長年シェフを務めたボストン交響楽団の最後の演奏会があったばかり。今年の始めに指揮をとったニューイヤーコンサートのCDがスマッシュヒットを記録しているし、来年からはいよいよウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任することになっているなど、話題が目白押しの小澤氏である。その小澤氏が企画したオペラプロジェクトも今年で3年目。年々その評価が高くなってきており、今回のドン・ジョバンニはいやがうえにも期待がかかる。大阪公演は最終日となっているのでどれくらい燃えてくれるか・・・
会場は言うまでもなく超満員。フェスティバルホールが隙間なく埋まったのは初めて見る。まさに熱気ムンムンである。そして狭苦しいオケピットに小澤氏が現れた瞬間に割れんばかりの拍手が起こった。大人気である。そしてすぐさま序曲に突入。非常にスピード感あふれスリリングに曲をぐいぐい進める。さすが世界に認められた指揮者だと納得した。音楽塾オケもプロ顔負けの演奏を聴かせた。フェスティバルの音響の悪さなんかも吹っ飛ばすほどの若々しくはつらつとした演奏がまさにモーツァルトにぴったり。やがて幕が上がり第1幕に突入。初めて見るオペラにこの時感動を覚えた。セットがすごいのである。いつものフェスティバルの無機質な舞台が18世紀のヨーロッパへと変化したのだから。
内容の方はあまりにも有名なオペラなので字幕が必要ないくらいだったため、演奏と演技に集中することができた。出演者はみな素晴らしかったが、特に良かったのはエルヴィーラ役のゴーキーだと思う。深みのある表現は少し光ってた。
小澤氏の指揮もヨーロッパ的というか、堂に入ってると言うか、ごく自然に解け合って絶妙のタイミング・テンポで進める。最大の見もの・聴きものは何と言っても騎士長は復讐にやってくるクライマックスだ。激しく攻撃的な演奏と効果的な演出がぴったりマッチして背筋がゾクッとなる感覚を覚えた。
有名なアリアが次々と炸裂するこのオペラは初心者でなくても十分に楽しめたはず。改めて小澤氏の実力の高さとモーツァルトの劇性の高さに感心した。今度は小澤=ウィーン国立歌劇場の組み合わせでぜひ聴いてみたいものだ(高すぎて行けない?!)。
終演後、小澤氏にサインをもらおうと駆けつけたが、ツアー最終日ということもあり、すでに打ち上げ会場へと足を運んでいた。残念だったが、出演者にはサインをもらうことができたので良かった。しかし、こともあろうに主役のドン・ジョバンニにもらい損ねた!写真を撮っているうちにエレベーターに乗ってしまった!主役だけないなんて・・・アホな。
出演者一同
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ジョバンニ役:キーチェン
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