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2003年10月3日 サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団
(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

リムスキー=コルサコフ
   「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」序曲
ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番
ムソルグスキー(ラヴェル編曲)  組曲「展覧会の絵」




演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: エリソ・ヴィルサラーゼ
指揮: ユーリ・テミルカーノフ

感想・短評

やって来ました。秋のコンサートシーズン。いきなり大物オケから開始である。サンクトペテルブルグ・フィルはご存知のように旧称レニングラード・フィルのことで、名門中の名門である。ただ、前任のムラヴィンスキーの死去とソ連の崩壊により、実力が以前ほどではないのは確か。10年近く前にヤンソンスの指揮で聴いたことがあるが、その後どのように発展したか注目である。

平日の京都コンサートホールは、大物オケでも人の入りは良くない。7割ほどだろうか? 日本ツアーの初日なので団員の士気に影響がないか少し心配であった。

序曲はやんわりと済んでしまった感じだ。消え入るような曲。森の静けさを想像させる。ワーグナー的、ロシアのパルジファルなどとプログラムに書いていたが、余りそういった印象はなかった。

今日のメインの1つラフマニノフ。オケが抑えすぎで少し欲求不満か。ロシアのオケは合わせ物の時に極端に抑えすぎるクセがあるように思う。まぁソリストにおかまいなしにぶっ放したら、ロシアのオケの場合はすごいことになりそうだが・・・ 演奏は何となくつかみ所のないものだった。ピアノはテクニックはあると思うが、どこかしらゴツゴツした感じで、美しいイメージには遠い。これがロシア的ともいえるが。それでもピアニッシモをうまく弾けるところはさすが。第2楽章は良かった。第3楽章ではオケの本来の姿が見え隠れした。フィナーレに近づくにつれピアノも炸裂し、オケも燃え上がった。終わってみれば良い演奏だったが、もっとロシアっぽさを聴かせて欲しかったかも。

展覧会の絵は10年ほど前にデュトワ=モントリオール響での名演を体験しているだけに、あまり期待してなかったが、今日の演奏も素晴らしかった。前半とは異なり、ようやく本領を発揮するオケ。このオケの低弦のぶ厚さ、金管のパワーをようやく見せつけてくれた。特にコントラバスの威力は凄まじく、体が振動した。金管はことごとく頭がそろわなかったが、これも演出の一つととらえれば気にならなかった(笑)。素晴らしかったのは、「こびと」「バーバ・ヤーガの小屋」「キエフの大門」。この曲の持つスケールを最大限引き出していたと思う。暗いロシアのイメージとはかけ離れて、きらびやかで豪壮なフィナーレとなった。当然、大迫力に会場からは割れんばかりの拍手が贈られた(観客が少なかったので「ものすごく」はなかったが)。

アンコールはチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」から2曲。「パ・ド・ドゥ」「トレパック」。「トレパック」はスピード感あふれる演奏でこのオケの持ち味を存分に楽しむことができた。みんなこういうのが聴きたいんだよね。ロシアのオケでは。

終演後は例のごとく楽屋口に。展覧会の絵でのTopトランペットとコンマス、ピアニスト、指揮者にサインをもらい充実した演奏会を閉めた。


エリソ・ヴィルサラーゼ

ユーリ・テミルカーノフ

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