チケットを買ってからずいぶん時間が経ってしまったので、ブームも薄くなっているせいもありますね。NHKで取り上げられて一時期大ブームとなった佐村河内さんの交響曲。CDも相当売れたようで、そのころであれば観客動員もすごかったことだろう。今日の公演は平日の京都ということもあり、近年目にしたことのないような客の少なさだった。恐らく半分を切っていたのではないだろうか?値段の高さも拍車をかけていた。京響の演奏ということで注目度は高い公演だと思うが、タイミングが悪すぎたということだろう。
そんな残念な集客とは裏腹に、演奏の方はもう爆裂と言って過言ではないものだった。CDを聴きこんだものの、解説等を読んでいないために曲の解釈はできないが、苦悩と希望、絶望と光明が入り交じり、複雑に表情を変えていくさまは興味深いものだった。全体的に抑揚はあるのに一本調子に聞こえてしまうのは、この曲の長さゆえだろうか。もう少し短くても良いかもしれませんね。
現代にこれほどのロマンティックな交響曲を書く人はそうそういない。ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキー、マーラーなどの現代に近い作曲家のフレーズを感じずにはいられない。映画音楽やゲーム音楽のような雰囲気もあり、そういう身近さが聴きやすい要因なのだろう。最後のクライマックスはほとんどワーグナーかマーラーばりの壮大な音の洪水でした(笑)。
よく知らない指揮者でしたが、奇抜なことをするわけでもなく、比較的忠実に、それでいてダイナミックな振りっぷりだったのは良かった。オケも京響のポテンシャルを見せつけるかのような熱演で、何度も訪れる最強音は、近年の演奏会では聴けなくなったくらいの爆裂的なものだった。ほとんどやり過ぎなくらい。そうでないとこの曲は表現できないのかも。。。
今日の演奏会には佐村河内さん本人も会場に姿を現していた。観客からの大きな拍手とスタンディングオベーション。熱狂的なファンも多かったようだが、こういう曲を絶対音感だけで練り上げる実力には本当にただただ驚きでしかありません。
【追記 2014年2月】
すでに報道の通り、この曲は偽作(作曲代筆)ということが分かりました。曲そのものは非難される内容ではないですが、作曲者を偽るだけでなく、経歴や障害までも装ったものは許される範囲を超えていると思います。私は音楽そのものを聴いていたつもりなので、あまり経歴等に踊らされてはいませんでしたが、偽りの曲と分かると複雑な心境です。
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