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2006年11月4日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2006(兵庫県立芸術文化センター)

演奏曲目および評価

ブルックナー  交響曲第5番 変ロ長調

演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮:ニコラウス・アーノンクール
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

感想・短評

先月のルツェルン祝祭管弦楽団に続き、今年2番目の贅沢プログラムの開幕です。今年のウィーン・フィルはアーノンクールが指揮するということだけでなく、両者十八番のブルックナーが演奏されるとあって期待も最高潮。ルツェルンもブルックナーだったので贅沢極まりない聞き比べとなった。まぁ、当然のことながら会場は超満員。高額な公演(S席は31,000円)なのでやはり聴衆の年齢層の高さは否定できないが、よく入るもんだと感心する。ちなみに私が鑑賞したのは下から2番目のD席16,000円なので4階席最後列。決して悪くない席なのだが、この位置が最悪の結果を生むことに・・・(詳細は感想の最後で)

オケはルツェルンのときのような大編成というわけではなく、ごくシンプルな布陣。それでもメンバーは豪華だ。コンマスはキュッヒル、トップサイドはシュトイデ。2プル表はヒンクで、裏はホーネック。クラリネットのシュミードルは出てなかった(1stはヒントラーだった)が、フルートのシュルツや、トランペットのシュー、ホルンのヘーグナーなどのおなじみの顔は見えた。

アーノンクールは登場のとき、緊張感にあふれオーラを放っているようだった。そして、少しゆったりめのテンポで厳かに始まった。第1楽章冒頭部分では長すぎるほどのブルックナー休止を多用し、曲への入れ込み具合が強く感じられた。そのあとは聞きなれた“ウィーン・フィルのブルックナー演奏”がこれでもかと展開された。響かない兵庫県立芸術文化センターのホールでも存分な音の洪水に飲み込まれた(直接音だけど)。ただ、ホルンやフルートのミスが目立ったのが残念といえば残念だった。

第2楽章は弦楽器の美しさを再認識。どこまでも澄み切って高らかな高音の響き、泥臭くなく高級感あふれる低音の響き。やっぱりウィーン・フィルの弦は格調の高さが違います。ルツェルンの弦がパワーとすれば、ウィーン・フィルの弦はしなやかさです(ベルリン・フィルとの比較とおんなじだなぁ)。どっちもいい!

第3楽章から第4楽章はもう押されっぱなしでした・・・。曲が進むにつれてどんどんとパワーアップしていくんだから。第4楽章は曲のすべての要素が詰まっている感じなので、ここだけでも満腹でした。各パート全ての演奏が完璧で、全身集音マイクのように集中して聴いたので聴く側も体力勝負でした。フィナーレまで衰えることのないオケ(特に金管)は強烈な感動を叩き込んでくれました。惜しむらくはやはり残響のなさか(涙)。

いつものように少し拍手は早かったが、いうまでもなくブラボーの嵐に包まれた会場。やっぱり「ブルックナー演奏はウィーン・フィルだ」という解を示された感じ。アーノンクールは想像していたよりも存在感は小さかったが、素直に楽曲に向き合った結果だったのではないだろうか? 何にしてもあっぱれ。1時間半に満たない短い演奏会だったものの、一期一会の貴重な時間を過ごせたので感謝感謝です。

 

【手放しでは喜べなかった最悪の演奏会】
上の感想では「良かったこと」しか書かなかったが、実は今日の演奏会はこれまでの数多く足を運んだ演奏会の中でも最も劣悪な環境であったことを非難しておく。事件は4階席後方で起きていた。ほぼ真後ろにあたる場所で呼吸器障害?の方が車いすで鑑賞していた。これは当然全く問題となることではない。ただ、呼吸装置を使っていたようで、ポンプの騒音(ブーンという低音域から、キーンという高音域まで)と呼吸自体の騒音がとてつもなく、音楽鑑賞というにはとうてい考えられない劣悪な環境でした。大げさに言うなら、掃除機をかけながら音楽を聴いている感じ。ブルックナー休止もピッチカートもあったもんじゃないです。高額を支払ってどうして精神的苦痛を受けながら音楽を聴かなければならないのだろうか・・・なんだか怒りのやり場がなく情けなくなりました。障害者の方を非難するつもりはありませんし、本意でもありません(逆にもっと良い席で聞かせてあげたいくらい)。しかし、ホール運営者の方、他に方法があったと思いませんか?
※追記:ホール責任者からおわびのコメントをいただきました(11/7)

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