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2010年5月28日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン芸術週間(ウィーン楽友協会 大ホール)

演奏曲目および評価

デュティユー/瞬間の奇跡
エルガー/ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 op.61
プロコフィエフ/交響曲第5番 嬰ロ長調 op.100



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン:ニコライ・ツナイダー
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ

感想・短評

ついにクラシック・ファン垂涎の聖地に来てしまいました。憧れのムジークフェラインザール! 昨日からウィーン入りしていたので、午前中は市内観光を堪能して、夜はウィーン・フィルを堪能するという贅沢な1日になった。ムジークフェラインでのウィーン・フィルは春と秋の芸術週間くらいしか実は聴ける機会がない。というのも定期演奏会は会員で押さえられているからだ(まぁ、金に糸目をつけなければキャンセルチケットを狙えるらしいが)。なので、春のウィーン芸術週間公演を狙って訪れたという訳です。指揮はゲルギエフだから何の文句もない期待のプログラム。曲目はウィーン・フィルらしくないが、あえてこういうのもいいだろう(笑)。

さて、何はともあれ、ホールのなんと豪華なこと・・・。「黄金のホール」と言われているだけにきらびやかさは尋常ではない。壁も天井も視界全てが芸術品に見える。音楽を聴かなくてもホールを見るだけでも十分満足できるのではないだろうか? そんなところでウィーン・フィルが聴けるという幸せはまさに最上級なのだ。チケットだって日本で聴くよりも半額以下というから驚き。立ち見に至っては1000円以下だから開いた口が塞がらない。しかしいくら安いと言っても小市民なので、日本にいるときと変わらない2階のバルコニー2列目を選択(笑)。たったの45ユーロ(5000円強)だ。見えにくいとは聞いていたが、大阪のシンフォニーホールの3階バルコニー2列目と同じくらいの視界(半分くらいしか見えない)だったので、まぁ私には十分許せる範囲かな?

前置きばかりになったが、演奏の方は震え上がるほどのものだった。一言で言えば「ウィーン・フィルはムジークフェラインで聴いてナンボ」だ。音響の素晴らしさは世界一とも言われているが、その言葉には偽りがなかった。騙されたくらいの最高の音響に鳥肌が最大値を記録した。ただ、どんなオケでもうまく聴こえるという感じではない。どんな小さな音も、どんな大きな音もハッキリ聴こえるのでごまかしは効かなさそう。そういう意味でもウィーン・フィルの実力をまざまざと感じることができた。最初のデュティユーは知らない曲だったが、前衛的な曲ではなかったので響きの美しさに酔いながら楽しめました。

2曲目はエルガー。なかなかにマニアックな曲なのに、50分もある大作なのだ。冒頭のエルガーらしいメロディのあまりの格調高さに身体が硬直したほど。ここまで美しい響きは聴いたことないかも。。。ヴァイオリン・ソロはツナイダー。初めて聴くソリストではあるが、さすがにテクニックは申し分なく素晴らしいため安心できる奏者だ。それだけでなく、天下のウィーン・フィルに対して挑戦的に煽るほどの余裕っぷりだ。あまりの熱演に第1楽章で拍手が起きたほど。いいねぇ、こういうエモーショナルな拍手。第2楽章が静かに終わるとき、大きないびきをかいて観客の1人が倒れて運び出されるハプニングが起きたが、ペースを乱すことなく第3楽章も圧巻のうちに終わった(倒れた客は後半で無事に復活してました)。ゲルギエフの指揮は意外にも純イギリス音楽そのもので、そのクセのなさにちょっと驚いた。

休憩中にホールを隈無く見学し後半に挑んだ。後半はプロコフィエフの5番。一昨年のロンドン交響楽団の日本公演でも激演を披露した十八番だ。ピアニシモからフォルテシモまで存分に表現できるホールの特性も相まって、非常にダイナミックな快演でした。一昨年のロンドン響では炎のような凄まじさだったが、今日は全てが昇華された、より高みに至った演奏だったように思う。しかし、すごい響きだわ、このホール。どんな最強音も余裕で受けとめるんだから。第3楽章、第4楽章と徐々に突進していくゲルギエフの手腕は世界最強。あぁ、もうこの曲はゲルギエフ以外では聴けない・・・。

ホールにオケに指揮者。三拍子揃った演奏はこの先何度耳にすることができるであろうか? 興奮というより大きな衝撃を受け、友人と待ち合わせた夜の酒場へと急いで足を運んだのでありました。

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