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約5年ぶりのインバルの指揮だ。通算4回目だが毎回違うオーケストラで聴いているのが面白い(東京都交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、NHK交響楽団)。おまけに今日は極め付けとも言えるマーラーなので期待しない訳には行かない。インタビュー記事などを読んでいると、ベルリン交響楽団に就任してから、ベルリン・フィルに匹敵するオケに育てると言っているようなので、どこまでそれを実現できているかが聴き所である。
さて、最初はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。最も嫌いな部類にはいる曲なのだ。。。この曲、今日は川久保賜紀さんが演奏するはずだったが、インフルエンザのためにダウン。代役として、米元さんが弾くことになった。名前は聞いたことあるが、どのような演奏になるか、ちょっとドキドキ。冒頭から輪郭の丸い、柔らかな旋律を奏でる米元さん。これは結構好きな弾き方かも。最近のヴァイオリニストに良く見られるような技巧派というわけではなく、とても落ち着いて歌うヴァイオリニストだ。もちろん技術的にも素晴らしい。不安定なところがほとんどなく、正確な音を奏でているから安心して聴いていられたのだと思う。この曲、嫌いなのに聴き入ってしまいました。オーケストラの方は小編成のためか、古楽的な響きでちょっと堅めだったが、ヴァイオリンとのかけ合いも上手くできていたと思う。
後半は大曲、マーラーの9番。いかにもインバルらしい演奏で、心地よく聴くことができた。細部にまでしっかり描きつつ、全体をあくまでナチュラルに表現。難しい曲でも易しく聞こえてしまうのはさすがインバル。ただ、オケの方はもう少し堂々とした落ち着きが欲しかった。どのパートも上手いのだが、強く鳴らすところはあまり丁寧ではなく、ミスも目立った(特に金管や木管)。ヴァイオリンのボウイングがバラバラなのも気になった。ベルリン・フィルを目指すということだったが、まだまだ道のりは長しといったところか。それでも第1楽章はなかなか良かった。第2楽章はノリで切り抜けた感じ。第3楽章は冒頭のトランペットが外してしまった上、アンサンブルでも怪しいところがあったけど、スピード感は良かった。第4楽章はかなりのハイペース。この楽章をこれだけあっさりと演奏するとは。全体的に、ゲルギエフが魅せた壮絶なまでの演奏や、ムントが聴かせてくれた感動的な演奏とは無縁の、感情を廃した純音楽的な演奏。弦楽器も美しかったし、テンポも速いなりに安定していてとても良い演奏だったのに、あまり印象には残らなかった。
ベルリン交響楽団は思ったよりも「ベルリンっぽく」なかった。他のドイツオケで聴かれるような大地を揺るがすほどの重低音はなく、金管も少し表面的な響きが多い。木管ももっと個性が欲しかった。上手いには上手いのだが、ベルリン・フィルを目指すのであれば、もっと高いレベルを要求してしまうのだ。。。何にしても、インバルらしい精密なマーラー演奏を久しぶりに聴けて、気持ちの良い演奏会だったと思う。
【余談】
インバルの指揮台の横には水が用意されていた。楽章の間に飲んでいたが、ステージ上で水を飲む姿はあまり見かけないような。これもカリスマ的ということだろうか?
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