1ヵ月あいだが空いた定期演奏会。いつもながらに満員の観客には驚く。今日の指揮者は、若手の現代作曲家であり指揮者でもあるというマティアス・ピンチャー。若手ならではのハツラツとした演奏に期待が集まる。
1曲目はピンチャーによる自作自演。現代音楽らしく混沌とした曲で、特に印象はないが、オケが若いだけあり演奏は活き活きしていた。大量の打楽器を要する編成は楽しめました。
2曲目の協奏曲は思わぬ収穫だった。地元西宮出身のヴァイオリニスト松山さんは、地味な音色ながらもしっかりとした力強い演奏で存在感があった。スペイン風のこの曲にもスタイルがあっていたのかも知れない。第2楽章、第3楽章は特に楽しめた。オケもソリストに気を遣うことなく十分に鳴らしていたのがポイント高い。それに負けない松山さんの力が余計に光っていました。昨年、川久保賜紀さんのヴァイオリンを聞いたときのように感心しました。日本人のレベルは年々高くなっていきますね。ご立派!
後半は幻想交響曲。同曲はPACオケとしても演奏会で披露するのは早くも2回目(一昨年のオープニングシリーズ第2弾)。その後の成長を測る上でも注目すべき演奏だ。
さて、その期待はいろんな意味で外された。まず、オケに注目すると、技術レベルは間違いなく上がっていると思う。スリリングな危うさはなく、余裕を持っているように感じた。しかし、それが逆に無難にこなしているようにも見えた。指揮者に注目すると、若手の作曲家だから過度な期待があったのは確かだが、楽譜に忠実というか、何も目新しさがなく退屈なものだった。第2楽章は指揮者によって表情が様々で面白いのだが、全く「舞踏会」が思い浮かんでこない。第3楽章こそ、木管の活躍によって聴き応えあったものの、第4楽章、第5楽章は盛り上がりに欠けた。個人的に感心したのは一昨年と同様に、鐘をバンダで使用していたところか。
もっと現代音楽的に幻想・妄想炸裂した解釈を期待していただけに残念。昨年、京都市交響楽団で聴いたコバケンによる熱い幻想交響曲だけでなく、一昨年の佐渡さんとの演奏とは比較にならなかった。
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