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2006年6月24日 京都市交響楽団
第489回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

シェーンベルク  グレの歌

演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァルデマール王: トーマス・ステュードベイカー(テノール)
トーヴェ: グィネス=アン・ジェファーズ(ソプラノ)
山鳩: 坂本 朱(メゾ・ソプラノ)
農夫: 長谷川 顯(バス)
道化クラウス: 吉田 浩之(テノール)
語り: ヨズア・バルチュ
共演: 東京交響楽団
合唱: 京響市民合唱団、京都府合唱連盟
指揮: 大友 直人

感想・短評

2005年のサイトウ・キネン・フェスティバルでも聴いた「グレの歌」がまた聴けるとは思わなかった。滅多に演奏されない曲な上に、大好きな曲なので非常にうれしい事件だ。サイトウ・キネンでは東京オペラシンガーズによる合唱が素晴らしかったにもかかわらず、オケがいまいち消化不良だったので、今回の演奏会が発表になってから首を長くして待ち続けていた。

この「グレの歌」、滅多に演奏されないのは、オーケストラ、合唱すべて合わせて約400名も必要だからだ。今日の演奏会は、大友さんが常任指揮者を務める東京交響楽団との合同演奏なので、実力派のオケ同士の融合で充実した演奏が期待される。唯一心配なのは客の入り具合だったが、チケットの値段と、この曲の知名度の割りにはまずまずの入り具合だった。

京響&東響舞台上には所狭しと椅子が並んでいる。おそらくこれ以上は置けないというくらいだろう。オケの団員は見分けがつきやすく、黒の衣装が京響で、紺の衣装が東響だった。お互いほぼ交互に並ぶように配置されていた。ちなみに合唱団はポディウム席を占拠していた。

まず始めに、先日亡くなった、京響首席客演指揮者の岩城宏之さんと、京響の指揮者だった佐藤功太郎さんを偲んで、J.S.バッハ/G線上のアリアが演奏された。追悼ということで照明を半分に落として薄暗闇の中で行われた。美しくも素直な演奏で心洗われました。

グレの歌・合唱団少し時間を空けていよいよ「グレの歌」の開始。演奏の方は期待を上回る大満足の出来でした。大友さんの指揮は奇をてらうことや、嘘っぽい演出はなく、素直だっただけに、よりロマンティックな展開になっていたと思う。それにしても、京響と東響の相性がよいのだろう。合同オケというギクシャク感は全くなく、むしろ団員が2倍に増えたというほどマッチしていた。さらに、200人近いオーケストラにもかかわらず、ピアニッシモから、ホールが吹っ飛ぶほどの大音響まで、非常に安定した響きで、全く疲れがなかったのには驚いた。強奏部分では衝撃波が来るほどだったのに、暴力的で耳障りな騒音にならないどころか、きちんと旋律を聴き取ることが出来たのは大いなる収穫だった(京都コンサートホールでは珍しい?)。ソリストも全く申し分なく、みな声量が十分だったのも嬉しいところ。特にトーヴェ役のジェファーズと、山鳩役の坂本さんは巨大オケの音量に負けないパワーで素晴らしかった。合唱団はアマチュアなので特にコメントしないが、最後の最後で女声合唱も入る「太陽を見よ」での感動的なクライマックスは、オケと合唱が一体化して文句のないスケール感でした。あぁ、何度聴いてもロマンティックで良い曲です。

小谷口直子なお、今日のロビーコンサートは木管九重奏によるもので、大好きな小谷口さんのクラリネット演奏を目の前で聴けて、とても勉強になりました(レベルが高すぎて、盗める技術は何一つありませんでしたが・・・)。演奏は「さすがに京響の木管陣」といえる充実したもので、ロビーでするにはもったいないくらいでした。ただ、小谷口さんは風邪を引いていたとのことで、ちょっと苦しそうでした(本番中も・・・)。

  ブラームス(ボウマン編曲) ハイドンの主題による変奏曲(木管九重奏版)

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