年に1度の大阪公演。もっとやって欲しいのはヤマヤマだが、シンフォニーホールで聴けるのはうれしい限りだ。会場は始めは残念ながら空席が目立ったが、最終的にはまずまず埋まってました。スゴイとしか言いようのない快演だったので、今日来なかった人は一生後悔することでしょう!
まず「カルメン」は10日のスプリングコンサートに続き貫禄のある安定感抜群の演奏でした。やはり何度聴いても「間奏曲」は美しいです。ああいう演奏がしてみたい。。。気持ちいいだろうなぁ。
驚きは「ラプソディー・イン・ブルー」に尽きるでしょう。一昨日は小曽根さんが好き放題の爽快感あるアレンジを繰り広げてくれましたが、今日の山下さんはそれを遥かに上回る大アレンジを敢行されました。のっけから音が多いやんか! 全く楽譜通りの音を並べることなく、正規ルートを一切通らない奇演だった。カデンツァは山下節炸裂の大爆演。いつも最大限の興奮を振り撒いてくれますね。圧巻です。冒頭のクラリネットに象徴されるように、オケも同化したといって良いほどの熱さで応えていた。広上さんは一昨日とは全く別の音楽を指揮していたといっていい。広上さん以外にこれほど柔軟性を持って取り組める人が他にいるだろうか?よくもまぁ、異なる演奏ができるもんです。後半はピアノとオケが双方仕掛けていたと言えるほどの相乗効果で、非常にスケールの大きなうねりが曲を支配していた。スケールでか過ぎって話も・・・こんなガーシュウィンは他にないでしょう。当然ながら会場は大興奮でした。アンコールも大熱演。すごい・・・
“枯葉”−“スウィングしなけりゃ意味がない”(メドレー)
後半は「悲愴」。2年前に若杉さんの指揮&京響で素晴らしい演奏を聴いているだけに期待が大きかった。その期待を裏切らないのが京響である。裏切らないどころか、とんでもない名演と太鼓判を押して良い演奏でした。私が理想とするチャイコフスキー演奏をここまで表現してくれたら文句なんて何もありません。なので大した感想は書けません。途中から鳥肌が立ちっぱなしで、背筋がゾクゾクしてました(風邪ではない)。第3楽章の猛烈な勢いのために拍手が出てしまったのは残念だが、それで集中力が欠ける訳でもなく、第4楽章ではロシアのオケも真っ青な完璧さを持続させてました(金管は所々辛そうでしたが)。「『悲愴』という名前がただの飾りとは言わせないぞ」と言わんばかりのドラマチックで壮大なスペクタクルとして展開されたチャイコフスキー。あぁ、このプログラムで、この演奏で東京公演をしてもらいたい・・・。東京のオケで、こんなに感動的な演奏できますか?
寂しい終わり方だと言うことで、最後に癒しのアンコールをしてくれました。リャードフ/「8つのロシア民謡」より第3曲“遅歌”。
広上さんは日に日に存在感が増しているよう。これは京響の黄金期が間違いなく来ているということに他ならないと思う。良い指揮者を得た京響がますます楽しみに思った演奏会でした。
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