今期2度目の定期演奏会連続鑑賞。もう一つ言うと、4日前に新日本フィルの定演でベロフのピアノを聴いているので、ベロフに関しては3連続ということになる。今回のメインもベロフのピアノ。フランスを代表するピアニストの1人であり、素晴らしいテクニックの持ち主なので期待せずにはおけないだろう。
プログラムは、今年没後50年を迎えて演奏機会が増えているプロコフィエフの特集。意外と演奏されないことが多いのでうれしい。2日間では2日目の方が観客数が多かった。内容的には2日ともバランスのよい演奏を聴かせてくれたので満足の行くものだった。
「三つのオレンジへの恋」は「行進曲」以外はほとんど聴いたことがなかったたのだが、プロコフィエフらしい雰囲気を感じることができた。1日目の方が楽器のバランスはよかったように思うが、全体的に管楽器の繊細さに乏しく、ちょっと荒さが目立った。特にミスをしていたというわけではなかったのだが、もう少し丁寧な演奏を期待したい。それでもプロコフィエフらしい鋭さを堪能でき、楽しい組曲となっていた。
注目のベロフだが、2日目の白熱はすごかった。オケとのかけ合いは2日間を通してぎこちなさを感じたが、ピアノの上手さがそれを補っていた。外山氏の指揮は必要以上に速く、オケがついて行っていなかった。そのために伴奏のボリューム感がなくなっていた。逆にピアノがよく聞こえて良かった気もするけど(笑)。圧巻だったのは第3楽章のピアノだろう。疾走していても決して荒くならず、流れるような旋律がしっかりと耳に届いた。バルトークのピアノ協奏曲を思わせるほどの白熱ぶりに舌を巻いた。1日目はアンコールがなかったが、2日目は粘った甲斐もあり1曲披露してくれた。
プロコフィエフ 「つかの間の幻影」より 第8曲
これは非常に繊細な曲で、梅雨空をも吹き飛ばすほどのさわやかな風がホール内を吹き抜けた。音の切れ目がないかのように流れるような表現はベロフならではのものだろう。素晴らしいの一言だった。
最後は交響曲第5番。これは2日間を通して満足のいくできだった。とにかく金管の充実が素晴らしかった。このところ少し金管のバランスが悪くなっていたが、今回はほとんどノープロブレム。ピアノ協奏曲とは異なり、非常にゆったりとしてスケール感の大きな指揮で、この曲の完成度の高さを雄弁に語っていた。特に素晴らしかったのは第2楽章だろう。大フィルがここまでの完成度を持って演奏するとは意外な驚きだった。第4楽章も見事な推進力を発揮し、難曲のためにバラバラにならないかと心配していたのも無駄な心配であった。迫力のある快演に気分良く聴くことができた。
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