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2003年9月18日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第371回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ベルリオーズ  歌劇「ベンヴェヌート・チェルリーニ」序曲
リスト  ピアノ協奏曲第1番
ベルリオーズ  幻想交響曲



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: 小川 典子
指揮: 大植 英次

感想・短評

大植氏2度目の指揮台。今日も会場はかなりのお客さんで埋まっていた。大植人気の順調さをうかがうことができる。就任記念演奏会となった前回のマーラーは大植氏の思いにオケがついていけなかった感があるので、今回はどこまで食い下がってくれるか注目だ。

オープニングはベルリオーズの序曲。華やかなこの曲には似合わず、重苦しく重厚な音がホールを包む。大植氏も決して急がず、噛みしめるように曲を運んだ。この曲に関しては「ローマの謝肉祭」のように軽やかで華々しい感覚を覚えたかったので、少し不満の残る演奏となった。好みに合わなかったが、悪くない演奏だった。

2曲目はリスト。ピアノは小川典子。ノリピーのピアノはちょうど1年ぶり(昨年の京響)だ。今回も素晴らしい演奏を披露してくれた。音量の豊かさだけでなく、安定したその技術には文句の付けようもなかった。聴いていて本当に信頼できる演奏家はそう多くない。オケの方もピアノに負けておらず、冒頭の金管には耳を疑った。大フィルらしくない会心の出だしであった。最も良かったのは第2部(第2楽章)。幻想的で柔らかな風がホール内を漂わせていた。オケは控えめであったが、各楽器の個性が際立っており、非常に充実した演奏になっていたと思う。その点もいつもの大フィルらしくなかった(笑)。しかし、弱音から強音まで自在に操れるノリピーは本当にすごいです。

ノリピーの衣装は白と黒のストライプで、まるで阪神タイガースのユニフォームを思わせるものだった。案の定、アンコールを演奏してくれるときに「今日のタイガースカラーのドレスはいかがですか?」と笑いをとっていた。アンコール曲は、ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」。冒頭で「六甲おろし」を弾き始めるなどの更なる笑いをとっていたが、演奏は天上の音楽のごとく素晴らしいものだった。

メインは幻想交響曲。曲を始める前に大植氏が客席に向かって話し出した。「阪神タイガース、ありがとう!」。思わぬ発言に会場は沸いたが、少し緊張が切れてしまったかな。。。しかし、演奏の方は緊張感を持って聴くに値する快演となった。大植氏の演奏には人を引きつけさせる魅力がある。いつもは聴き流してしまうフレーズにも新たな発見をもたらす。強弱のリズム、テンポの設定など、わざとらしくなく、曲に命を吹き込んでいる。大フィルがそれをどこまで表現できるかが勝負となる。今日はそれがうまく行っていた。第2・3楽章こそは平凡であったが、その他の楽章はとても面白かった。難点を付けるとすれば第3楽章でのコールアングレが今ひとつな感じだったことか。圧巻は終楽章「悪魔の祝日の夜の夢」。全身全霊でフルパワーな指揮をする大植氏に火をつけられた大フィルは、終曲に向けて凶暴さを増していく。最後のパーカッションなんかはまさにヤケクソ状態でぶっ放していた。

会場は割れんばかりの歓声に包まれた。その中、もっと驚くことが・・・。大植氏はタイガースのハッピを着て、メガホンを振りながら走って出てきたのだ。当然(?)、会場はさらに熱気に包まれた。大植氏は広島出身だからカープファンではないのだろうか??? しかし、今日はタイガース三昧の、ちょっと奇妙な良い演奏会だった。

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