2年前にも見学したことのある小澤征爾指導による指揮者クラスの見学会。今回は参加希望者が増大しているためか、大ホールでの開催となった。さすがに見学に来る人は陣取る場所を心得ている。正面前方に集まるわけではなく、サイドの席やポディウム席が先に埋まった。例に違わず、自分も真っ先にオケの真横辺りの場所をGET。オケ、指揮者、指導者の表情がよく見える場所だからだ。
始まる前に塾生は各々練習していたが、さすがに音出しからしてウマイのがよく分かる。その中でもフルートの子が特に際だっているように思った。しかし、塾生の使っている譜面のバインダーをよく見てみると、サイトウキネンのものを使っていたのが面白かった(苦)。
さて、今回の指揮者クラスの受講生は前回と同じ鬼原くん。さすがに2年経つとかなり成長するものだ。特に風貌が(笑)。もちろん指揮降りも以前に比べて格段に上手くなっており、多彩な表情ができるようになっていた。ただ、まだ硬さが取れきっていないのと、姿勢が良くないのは直して欲しいところ。小澤さんはホール中央付近でじっと見ていたのだが、何か伝えたいことがあると全力で走って舞台に向かっていた。体力あるなぁ。指導者は小澤さんだけでなく、指揮指導は湯浅さん、声楽指導は三ツ石さんと外人の先生(名前忘れた)。これほどの教授陣に見られているのはさぞ緊張することだろう・・・
お客さんによく分かるようにしてくれていたというのもあるが、小澤さんの指導は本当に面白かった。「ハバネラ」の演奏では、「“タッタッタッタッ”というところはフレンチセックスのように“アッアッアッアッ”という風にしてくれ」というスゴイ要求(笑)。「分からなかった人は後で来てくれ」とか(大爆笑)。もちろん、そんな冗談ばかりでなく、「“急ぐ”のと“早い”のは違う。前のめりになるのではなく、体の芯は真ん中にして真っ直ぐに」という明確なご指導もちゃんとありました。
本来であれば、1時間の公開レッスンだったのだが、「せっかくなんでまだ見ていってくれ」との小澤さんの粋な計らいで、うれしいことに結局2時間以上の見学会となった。ほとんど「カルメン」を全曲に近いくらいやったのではないだろうか?
歌手陣も充実した歌声を大いに披露してくれました。鬼原くんは歌手陣を気にして見過ぎで、オケにあまり目を向けていなかったのはもう少し修行のいるところだと思った。小澤さんは前回ほどの厳しさはなく、かなり穏やかだった。時折見せる真剣な眼差しは鋭かったけれど・・・ なかなか貴重な見学会でした。
【余談】オーケストラのゲスト・コンサートマスターは、以前にシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団の演奏会で見たことのある、エリック・シューマンが務めていた。
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